クリーンビューティーとは?クリーンビューティーの商品の特徴を紹介
今、化粧品業界で話題の「クリーンビューティー」という言葉をご存知ですか。単に「肌にいい」というだけでなく、地球環境にも配慮した新しい概念です。最近では、このクリーンビューティーの考え方を取り入れた化粧品が少しずつ増えています。
そもそもクリーンビューティーとはどのような定義なのでしょう。ナチュラルやオーガニックとはどう違うのでしょうか。今回はクリーンビューティーの基本や商品の特徴について解説します。
クリーンビューティーとは
クリーンビューティーは、ナチュラルやオーガニックを超えた新しいビューティーの概念です。健康や環境に有害とされる成分を使用せず、私たちの肌だけでなく、動物たちにも、地球にも配慮した美容アイテムを指します。
「クリーン」の基準は明確に定められておらず、オーガニック認証のように公的機関による認定はありませんが、次のような要素を満たしています。
・健康や環境に有害とされる物質を使わない
・動物実験を行わない
・製造過程やパッケージにおいてもサステナビリティ(持続可能性)を意識する
これらに加えて「製造工程や商取引に透明性を持たせる」「非人道的な労働を強いない」といったエシカル(倫理的)であることも求められています。
現在、世界的に環境への意識が高まっていることから、美容業界全体でクリーンビューティーに向けた取り組みが広がっています。
クリーンビューティーの背景
クリーンビューティーはアメリカを中心に拡大しました。アメリカでは1938年以来、化粧品の成分に関する法令が改正されておらず、これまではクレンジングやマスカラ、シャンプーなどに毒性のある成分を入れることもできたのです。実際、自然派コスメといった表示をしていても、発がん性物質やホルモンの働きを乱す内分泌攪乱物質を含むものも多いといいます。
これは日本も例外ではありません。化粧品の毒性を調べることを目的とした、ウサギやラットを使った動物テストも横行していました。また、化粧品を使い終えた後の容器や包装はどんなにおしゃれでもいずれゴミとなるため、環境汚染問題も懸念されています。
しかし、現在では健康意識が高まり、自分の肌に直接使う化粧品の成分にこだわりを持つ人が増えています。また、環境問題が叫ばれる中、環境にやさしくない商品では消費者の心をつかむことができません。
こうした背景から、肌への安全性に加えて環境負荷について考慮した製品を使おうというムーブメントが広がったのです。
ナチュラルビューティーとの違い
ナチュラルビューティーとは、天然成分によって肌本来の力を引き出すことをコンセプトにしたものです。その中には有害な物質を排除し、オーガニック成分を配合して、肌や環境への安全性に配慮したものもたくさんあります。
クリーンビューティーは、その進化系といえるでしょう。パソコンやスマホなどのデジタル機器に囲まれた生活、大気汚染など、私たちを取り巻く環境はますます厳しくなっており、敏感肌を訴える人が増えてきました。その結果、ナチュラルやオーガニックであることに加えて、より刺激のない化粧品のニーズが高まってきたのです。
クリーンビューティーは、こうした社会の期待に応えるべく、体や肌に不要なものを使わないことにこだわっています。また、成分だけでなく、製造工程やパッケージも含め「クリーン」であることを重視し、社会や環境に配慮した製品をめざしています。
ナチュラルとオーガニックの違い
ナチュラルとは
一般的に、化学的に合成された原料の使用をできるだけ抑え、自然由来・天然由来の原料を用いて作られたものをナチュラル・自然派と呼びます。原材料の例として、植物から抽出したエキスやオイル、精油、ミツロウなどが挙げられます。
ただし、明確な基準や認証がないため、天然由来成分が少しでも入っていれば、化学合成原料を含んでいても「ナチュラル」をうたうことができます。そのため「ナチュラル=安全」とは必ずしもいえないのです。
オーガニックとは
オーガニックはナチュラルの考え方をさらに進化させたものです。ナチュラルな化粧品のうち、厳しい基準をクリアしたものだけがオーガニック認証を受けることができます。ただし、オーガニックの基準は国によって異なり、世界共通の認証はありません。
オーガニック商品は遺伝子組み換えのない、有機栽培で育てられた植物を原料に作られています。刺激の強い成分や不純物をできるだけ取り除いているため、一般的な化粧品と比べると肌への負担が少ないといわれていますが、その分手間とコストがかかり、値段が高い傾向にあります。
クリーンビューティーな商品の特徴
有毒性物質が含まれていないもの
これまでは、私たちは化粧品の成分表記を見て、安全かどうか、有害なものは入っていないかを確かめるしかありませんでした。クリーンビューティーな商品には、体に害を及ぼす可能性がある以下のような合成化学物質が使用されていません。
・パラベン
細菌やカビの増殖を防ぐ抗菌作用があり、化粧品の防腐剤や抗菌剤として広く使用されています。しかし、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをするため、乳がんのリスクを高める可能性があることが研究で示されています。
・トルエン
石油やコールタールから得られる石油化学製品で、ネイルケア用品やマニキュア除光液、ヘアカラーなどに使われています。吸引すると呼吸器を刺激し、頭痛や吐き気、皮膚炎などを引き起こす恐れがあります。
・フタル酸エステル(環境ホルモン)
化粧品をなめらかにする目的で、マニキュアの除光液や香水、ヘアスプレーなどに使用されています。ホルモンの働きを乱す内分泌攪乱物質として知られ、ヨーロッパでは化粧品への使用が禁止されている成分です。
・ホルムアルデヒド(ホルマリン)
高い抗菌作用を有し、細菌の増殖を防いで化粧品の劣化を防ぐ働きがあります。発がん性があり日本では化粧品への配合が禁じられていますが、海外製の安価なマニキュア除光液やアイシャドウなどにはいまだに使用されているようなので注意が必要です。
製造過程に環境負荷が低いもの
従来の化粧品の容器は、石油系のプラスチックが主流でした。石油は化石燃料なので、焼却処分時に二酸化炭素が発生し、地球温暖化の原因となります。
そのうえ、それらの容器はプラスチックと金属、プラスチックとガラスというように異素材を使用したものが多く、リサイクルが難しいとされてきました。また、過剰な包装を廃棄・焼却する際にも大量の二酸化炭素を排出します。
化粧品の多くにはアブラヤシから採れるパーム油が使われていますが、アブラヤシ農園(プランテーション)を開発するための森林伐採、プランテーションでの過酷な労働による健康被害、児童労働などの様々な問題をもたらしています。
クリーンビューティーな商品は、以下のような取り組みをして環境負荷の低減に取り組んでいます。
・植物由来のプラスチックを使用する
・リサイクル可能な包装材料を採用する
・異素材を使用した容器は分離しやすくする
・過剰な包装を省く
・詰め替え容器を積極的に採用する
・パッケージに再生紙を使用する
・環境・社会面に配慮した持続可能なパーム油を使用する
まとめ
人にも環境にもやさしい美容を指すクリーンビューティー。コスメ、スキンケア製品を選ぶ際の新たな基準として注目を集めています。
これからは、自分の肌だけでなく地球環境にも配慮してこそ美が育まれる時代です。クリーンビューティーな視点の化粧品選びをあなたも始めてみませんか。