- 1つの分子の中に、油になじみやすい性質(親油性)
- 1つの分子の中に、水になじみやすい性質(親水性)
クレンジングは肌を濡らさないで使うのはなぜ?
クレンジング剤を水に濡らさないことで汚れをしっかり落とします
クレンジングをするときに肌を濡らさないようにするのには理由があります。
元々クレンジング剤はメイク汚れを水で洗い流せるようにするために作られました。
しかし、クレンジング剤がメイクの油分となじむ前に水と混ざってしまうとクレンジング剤とメイクの油分がなじみにくくなり汚れが落ちません。
特に濡らさないよう指示表示があるクレンジング剤を使うときには、水分がかからないよう十分に注意しましょう。
クレンジングの必要性
メイクをしたまま寝てしまった経験はありますか?
できればその日のうちにメイクは落とすようにしましょう。
メイクと外気の汚れなどが混じった状態で肌につけたまま長時間放置していると、さまざまな悪影響を及ぼします。
例えば…
毛穴が詰まって菌が繁殖しやすくなるためニキビや炎症の原因となる可能性があります。
肌の上で化粧品の油分が酸化するので、シミやくすみなどの肌トラブルが起こるかもしれません。
すると、ターンオーバー(細胞が新しく生まれ変わるサイクル)が正常に行われなくなり、皮膚の老化が進んでしまいます。
すると肌の張りやツヤもなくなり、メイクのノリも悪くなる恐れがあります。
メイク汚れは油性の汚れなので、洗顔料では落としきれません。
クレンジングでメイク汚れを落とし、洗顔料で肌表面に残った汗やチリ・埃を落とすと考えましょう。
クレンジングのしくみ
化粧品には油分が含まれているので、水で洗うだけでは簡単に落ちません。
特に、日焼け止めやウォータープルーフファンデーションなど「水に強い」「くずれにくい」といわれているものは、洗顔料ではなくクレンジング剤で落とす必要があります。
クレンジング剤はタイプによって含まれる成分の割合などが異なりますが、多くは「油」と「界面活性剤」が主成分です。
クレンジング剤に含まれる油分で化粧品の油分を浮き上がらせ、界面活性剤がその油と水を混ぜ合わせ洗い流せるようにします。
水を溶けない油と混ぜることを「乳化」といいます。
クレンジング剤でオイルタイプやミルクタイプは少なからず油分が含まれています。
クレンジング剤の油とメイクを十分に乳化させず、クレンジング剤をつけてマッサージするだけでいきなりすすぐと水をはじいてクレンジングできない恐れがあります。
洗い流す前に「ほんの少しの水を加えて」乳化させるだけで、すすぎやすくなり肌への負担が減ります。是非やってみてください!
界面活性剤とは
物質の境の面に作用して、性質を変化させる物質を「界面活性剤」といいます。
を持っているのが特徴です。
この構造が水と油を混ぜ合わせるのに役立ち
- 浸透作用
- 乳化作用
- 分散作用
という3つの作用が総合的に働いて汚れを落とします。
石けんも界面活性剤の一種です。
界面張力を下げて繊維の表面と水をなじみやすくし、繊維の中に水を浸みこみやすくします。
界面活性剤の油になじみやすい部分(親油基)が油の粒子を取り囲み、水になじみやすい部分(親水基)が外側に並ぶため、水と油が分離せず、均一に混ざり合うことができます。
煤(すす)のように水に入れても混ざり合わずに表面に浮かんでしまう粉末も、界面活性剤を入れることで粉末の粒子が界面活性剤の分子に取り囲まれて水中に分散します。
合成界面活性剤
界面活性剤というと「体に良くないイメージ」を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、実は自然界にも界面活性剤はあるのです。
例えば…
- 卵黄レシチン
- 大豆レシチン
- 牛乳に含まれるカゼイン
- 植物に含まれるサポニン
など、も界面活性剤です。
それに対しクレンジング剤に使われている
- スルホン酸ナトリウム
- ラウリル硫酸TEA
- ラウリル硫酸ナトリウム
- ベンザルコニウムクロリド
などは、化学的に作られた石油系合成界面活性剤です。
石油系合成界面活性剤を含んだクレンジング剤は、乳化力が高く、メイクを落とす力も強いのですが、その分だけ刺激が強く、肌への負担が大きくなってしまいます。
また、肌を守るために必要な皮脂さえも洗い流し、肌の乾燥を招いてバリア機能を低下させる可能性があります。
肌の弱い人や乾燥肌の人は、クレンジング剤を選ぶときには配合されている界面活性剤の量や種類にも目を向けた方が良いでしょう。
乳化には2つのタイプがあります。
- o/w型(Oil‐in‐Water)乳化は、油滴を界面活性剤が取り囲み、水となじみやすい状態です。
- w/o型(Water‐in‐Oil)乳化は、水滴を界面活性剤が取り囲み、油となじみやすい状態です。
一般的なクレンジング剤は1つ目の「o/w型」乳化に適した界面活性剤が用いられていますが、メイクとなじませると油分が増加して「w/o型」に変わります。=転相
しかし、すすぐときに水分が増えるので再び転相して「o/w型」になり洗い流されるのです。
濡れた手でも使えるクレンジング剤は、これとは異なり少量の水なら乳化が起こらないように、水と油が層になって油性汚れと水性汚れのどちらにもなじみやすくなる界面活性剤を用いています。
ただし、濡れた手で使えるタイプでも、乾いた状態の方がメイクとのなじみが良くてメイク落としの効果が上がるといわれています。
そのため場合によって使い分けると良いでしょう。
クレンジング剤の選び方
クレンジング剤には、7つのタイプがあります。
- 1.バームタイプ
- 2.クリームタイプ
- 3.ジェルタイプ
- 4.ミルクタイプ
- 5.リキッドタイプ
- 6.オイルタイプ
- 7.拭き取りタイプ
メイク汚れがよく落ちるものが良いものと思われがちですが、落とす力が強いクレンジング剤には洗浄力の強い成分が使用されており肌への負担も大きくなります。
そこで、自分の肌が乾燥しているのか、脂っぽいのか、荒れているのか確かめてください。
ナチュラルメイクか、しっかりメイクか、ノーメイクかでも適したクレンジング剤は異なります。
1種類のクレンジング剤に頼るのではなく、肌質やメイクの濃さによってクレンジング剤を上手に使い分けましょう。
バームという言葉には3つの意味があります。
- 芳香のある軟膏
- 鎮痛剤
- 癒やし
クレンジングバームはオイルを固めて作られており、使用前は半固形状ですが、肌の上にのせると体温で溶けて、とろけるような質感に変化するのでマッサージしながらクレンジングできる商品も発売されています。
油性成分の配合率が高いので、クレンジング剤として洗浄力が大変高く、メイク汚れや毛穴の汚れもすっきり落とせるのが特徴です。
クレンジング力が高いと、必要な皮脂まで落としてしまう恐れがあるのでナチュラルメイクのときやノーメイクのときは使わない方が良いといわれていますが、潤いを守るために保湿成分を配合しているものもあります。
クレンジング後の洗顔については、クレンジング剤の表記を確認してください。
W洗顔を推奨している場合と、W洗顔不要とうたっている場合があるのでメーカーの指示に従いましょう。
クリームタイプはクレンジング剤の中で最も保湿力が高いものです。
適度な油分があり肌の潤いを保つので、しっとりとした洗い上がりを実感できるでしょう。
クリームの濃厚さによって肌への摩擦が抑えられるので、肌のダメージは比較的少ないと考えられており、乾燥肌や敏感肌の方に向いているといわれています。
洗浄力は7つのタイプのうち中間くらいのレベルで、
- 拭き取るタイプ
- 洗い流すタイプ
の2種類があります。
クリームタイプは、クレンジング剤の中でも合成界面活性剤の配合量が比較的少ないといわれていますが、洗い流すタイプの方が界面活性剤の配合量は多くなる傾向にあります。
また、拭き取るタイプを使う場合はどうしても肌をこすってしまうので、力を入れすぎないようにしてください。
それぞれの特徴を踏まえて使い分けましょう。
ゼリーのようにみずみずしく、クッション性のある質感なので、摩擦による肌への負担が少ないといわれています。
洗浄力も強すぎず弱すぎず、適度にあるので、普通のメイクなら落とせるでしょう。
含まれる油分の量によって3種類に分けられます。
- 水性オイルフリータイプ
- 水性オイルインタイプ
- 油性タイプ
洗浄力と肌への刺激に違いがあるので、自分の希望に合ったものを選びましょう。
こちらは油分が入っていないので比較的洗浄力は弱いです。
その分、肌への刺激も弱いといえます。
クレンジング剤の油分によって接着が弱くなって取れやすくなるといわれている「マツエク」中でも、使用可能です。
油分が少量だけ入っているのでオイルフリータイプよりも洗浄力がアップしますが、肌への刺激もアップします。
ジェルタイプの中では、洗浄力も肌への刺激も一番強くなります。
ミルクタイプは一般的に、油分の割合よりも水分の割合が多めで乳液のようにさらっとした感触です。
つけ心地は滑らかで、クリームタイプのようにベタベタしません。
洗浄力は比較的弱いのですが、肌への負担が少なく、潤いを残しながら汚れを落とすので肌に刺激を与えたくないけれど、メイク汚れはきちんと落としたいという乾燥肌や敏感肌の人、ナチュラルメイクの人に向いているクレンジング剤です。
濃いメイクで使う場合は、ポイントメイクの部分を目元や口元専用のリムーバーを用いて落としたり、他のクレンジング剤と併用したりすると良いでしょう。
同じミルクタイプでも、中に含まれる成分の違いで様々な特徴があります。
- 保湿力が高いもの
- 肌なじみが良いもの
- 植物由来成分が入っているもの など
自分が求めているものにより近い商品を選んでみてください。
こちらは水分がベースとなっているので水クレンジングと呼ばれることもあります。
さらさらとしていて洗い上がりは一番さっぱりしています。べたつきが苦手な方にお勧めです。
オイルフリーなのでメイクになじみにくいため界面活性剤を多く含んでいるものが多いといわれています。
手軽にメイクオフできるので、帰宅後すぐにメイクを落としたい人には重宝されるでしょう。
洗浄力も肌への刺激も比較的強めです。
ほかのタイプよりもアルコールやエタノールの含有量が多いため乾燥しやすいという欠点があります。
コットンにしみこませて拭き取るタイプが多いので、こすって肌を傷つけないよう注意が必要です。
厚みのある柔らかいコットンにたっぷりしみこませてメイク汚れに十分なじませてから優しく拭き取るようにしましょう。
油分が多いのでメイクの油分となじんで汚れが落ちやすいのが特徴です。
一番洗浄力が強いのでウォータープルーフのマスカラやアイライナーを使った後や、しっかりと濃いめのフルメイクをしたときでも素早く落とせます。
日焼け止めを使ったときもオイルタイプが適しています。
ただ、油分を洗い流すため界面活性剤が多く含まれており、肌への刺激が強いため肌の弱い人にはあまりお勧めできません。
また、必要な皮脂まで落とす恐れがあり、乾燥しやすいので使用後の保湿は必須です。
使用するときは手や顔が濡れていると効果が発揮されないので、乾いた状態でなじませましょう。
そして、すすぎ前に乳化させることにより綺麗に洗い流しやすくなるので試してみましょう。
シートにクレンジング剤をしみこませたタイプです。
旅行のときや忙しいときにメイクを手軽に落とせるのでとても便利です。
しかし、リキッドタイプと同様に油分をほとんど含まないため界面活性剤が多く配合されています。
さらにアルコールも含まれているので肌への刺激は強いです。
また、拭き取る際にどうしても肌をこすってしまうので摩擦でバリア機能を低下させ、シミの原因になる恐れがあります。
毎日使うのは避けましょう。
使うときは、シートを当ててからすぐに拭き取らず、メイク汚れが浮き上がるまで少し時間を置いてから拭き取るようにするのが肌への負担を減らすコツです。
特に目元や口元など皮膚が薄い部分を強く拭き取るのはやめましょう。
ゴシゴシこすって肌にダメージを与えないように気をつけてください。
正しいクレンジングの方法
- クレンジングの前に、目元や口元などのポイントメイクを専用のリムーバーで落としておきます。
- クレンジング効果が十分発揮できるように顔や手は濡らさない状態で比較的皮膚が厚いTゾーン→頬→皮膚が薄い目元→口元の順にクレンジング剤をやさしく伸ばします。
- 最後に、浮き上がった汚れを洗い流します。
※よく汚れが落ちるようにと時間をかけてクレンジング剤をクルクルと肌になじませてしまいがちですが、それは間違ったやり方です。マッサージもできるクレンジング剤は別ですが、一般的なクレンジング剤には、肌に刺激を与える成分が含まれており、肌に触れる時間が長いと肌は少なからずダメージを受けてしまうので注意してください。
※クレンジングの時間は1分以内が原則です。
※洗い流すお湯の温度が高すぎると乾燥を招きます。湯温が低すぎると油分の汚れが落ちにくくなるので、必ずぬるま湯を使いましょう。
まとめ
どんなクレンジング剤を使うときでも、最初は肌を水に濡らさないのが基本です。
しかし、水に濡れても使用OKとうたわれているクレンジング剤でも本当は濡らさない方がメイク汚れは落ちやすいといわれていることは、意外と知られていません。
正しいクレンジングの方法を覚え、美しい肌を作りましょう。”