- 大量の汗
- 冷房
- 強い紫外線
保冷剤は夏の開いた毛穴を引き締める効果がある?
目次
夏になると急にポツポツと目立つ毛穴。何とかしたいと悩む女性の間で、最近注目されているのが保冷剤を使った「冷やす毛穴ケア」です。
肌を冷やすことで「毛穴の開きを抑える」だけでなく「血行促進」などのよい影響があるといいます。高価なコスメアイテムを買わなくても、冷凍庫にある保冷剤を使えば手軽にリーズナブルに行えるというのも人気の理由です。
その一方で保冷剤を肌にあてると「肌にダメージを与える」「冷やすケアに引き締め効果はない」という意見もあります。実際のところ、保冷剤を使った毛穴対策に効果はあるのでしょうか?
夏場に毛穴が目立ってしまうのはなぜ?
夏に毛穴が目立つ原因は、夏特有の「隠れ乾燥肌(インナードライ)」にあります。夏の肌は一見すると汗でベタつき、うるおっているように思えます。ところが、それは表面だけのことで、実は内部の角層部分は乾燥しているケースが多いのです。
など、夏ならではの要素が想像以上に肌から大切な保湿成分を奪ってしまっています。
知らないうちに乾燥してしまった肌を放っておくと、やがて肌の新陳代謝がスムーズにいかなくなり、未熟な角層細胞が肌に残って角栓となり、毛穴に入り込みます。この角栓が毛穴を押し広げてしまうため、毛穴の開きが目立つようになるのです。
夏は水分不足で皮脂分泌量が増えてしまう
夏に「隠れ乾燥肌」を起こしやすくなる原因のひとつは、水分不足からくる過剰な皮脂です。
人間の肌は通常、汗や皮脂が入り混じってできた天然の保湿成分で覆われ守られています。しかし、大量の汗をかいて肌の水分が足りなくなると、体は皮脂分泌を増やすことで水分蒸発を抑えようとします。
皮脂が分泌されるのは毛穴の奥にある皮脂腺から。皮脂をどんどん出そうとすれば皮脂腺の発達した毛穴は開きっぱなしの状態になります。
皮脂腺の多いTゾーンの毛穴が特に大きく広がるのはこのためです。そして過剰な皮脂は、肌表面に残った古い角質と混ざり、角栓となって毛穴につまります。
角栓は開いた毛穴をさらに押し広げ、目立つだけでなく、ザラつきやニキビの原因にもなります。
冷房による乾燥で古い角質がたまってしまう
暑さの厳しい夏を乗り切るために、冷房は必須です。しかし、冷房をかけると、わずか1時間ほどで室内の湿度は約40%以下に減少してしまいます。
これは真冬とほぼ同じ乾燥状態。冷房の効いた室内に長時間いることで、肌表面の角層からは水分がごっそりと蒸発してしまうのです。
角層の水分量が足りない状態が続くと、体は肌を守るために皮脂を分泌し、さらに新しい角層細胞をどんどん作り出そうとします。しかし、不自然に新陳代謝が速まってできた角層細胞は未熟で、十分なうるおい成分を持っていません。
通常の細胞は古くなると自然に剥がれ落ちるものですが、うるおいの足りていない未熟な細胞は古くなっても剥がれ落ちることができません。そのまま積み重なって毛穴に入り込み、皮脂と混ざって角栓を作り、毛穴を目立たせます。
紫外線を浴びることも毛穴がつまる原因に
開いてしまった毛穴に角栓がつまり、毛穴が目立ちやすくなったところに追い打ちをかけるのが紫外線です。紫外線には大きくわけて「紫外線A波(UV-A)」「紫外線B波(UV-B)」という2つの波長があります。
角栓が酸化してさらに毛穴が目立つ
お手入れの不足も原因となります。 隠れ乾燥肌は冬場の乾燥肌と違って乾燥していることに気付きにくいものです。そのため、日常のお手入れはさっぱり系の化粧水のみ、乳液やクリームは省略、といった夏向きの内容になりがちです。
ですが、実際には肌は乾燥しているのです。必要な油分が補われなくなった結果、肌の保湿成分は失われ、毛穴は一層目立ちやすくなってしまうのです。
さらに面倒な「黒ずみ毛穴」へと発展する可能性もあります。毛穴に入り込んだ角栓を放置していると、皮脂が酸化して角栓が変色し、黒ずんで見えるようになってしまうのです。
紫外線のUV-B波にも皮脂の酸化を促す作用があります。そのうえ、UV-B波は長時間浴びるとメラニンを過剰に作ってしまいます。
新陳代謝が滞った肌はメラニンを分解・排出できず、色素が沈着して毛穴の黒ずみとして肌に残るのです。
冷やすと毛穴が引き締まるといわれる理由
そんな夏の毛穴対策を、特別なアイテムを購入しなくても自宅で手軽に行える、と話題になっているのが「冷やす毛穴ケア」です。どんなものかというと、文字通り洗顔後の肌を冷やして、物理的に毛穴の開きを抑え込もうという方法です。
単純なようですが、毛穴自体を収縮させることができれば、以下のように、いくつもの効果で毛穴の目立ちを抑えることができるかもしれません。
- 化粧水や美容液の蒸発を防ぎうるおいを閉じ込める
- 毛穴に角栓が入り込むのを防ぐ
- 過剰な皮脂の分泌を抑える
- 紫外線による毛穴への負担を減らす
そしてこの一見お手軽なケアの一番の効果は、血流や代謝を活性化させることで肌そのものを改善していくという、根本的な毛穴対策なのです。
冷やすことで毛穴が収縮する
毛穴には「暑くなると汗を分泌しようとして開き、逆に冷えると体温を保とうとして閉じる」という生理的な働きがあります。もちろん、これは生理反応ですから、一時的なものです。
ですが、毛穴が縮まることで物理的にフタをした状態になります。それによってまず、化粧水や美容液の蒸発を防ぎ、うるおいや美容成分を閉じ込めることができます。
毛穴が広がる原因となる「角栓の侵入」を防ぐことにもなります。また、肌の温度が下がれば皮脂分泌も抑えられ、皮脂腺のある毛穴が開きっぱなしにはならなくなります。
肌を冷やすことは、紫外線によって活性化したメラニン色素の働きを抑制し、紫外線による開き毛穴、黒ずみ毛穴の予防にもなると考えられています。
血流がアップして肌にハリが出る
冷やす効果の中でも特に注目されるのは「血流や代謝のアップ」です。肌を冷やすと、その下にある毛細血管は収縮します。
その後、温まって膨張するため、冷やす前よりも血のめぐりがよくなるといわれています。この冷やす→温めるという温度差を人工的に与えることで、血管の働きが活性化し、血流がアップします。
血流がよくなると肌の新陳代謝がスムーズに行われ、古い角質や毛穴汚れを排除し、新しい細胞に変わりやすくなるのです。これはスポーツやリハビリ治療でCIVD(冷却がもたらす血管拡張効果)と呼ばれる疲労回復方法と同じ理屈。
肌がハリを取り戻せば、毛穴が開くというトラブルの根本的な改善につながると考えられます。ただし、毎日ケアを続けることで肌の調子がアップし、少しずつ改善していくという長期的な内容です。
毛穴の引き締めに効果的な冷やし方
「冷やすケア」といっても特に決まりがあるわけではありませんが、スタンダードな流れをご紹介します。
1.クレンジング&洗顔
洗顔はやさしく丁寧に、しっかりとすすいで毛穴の汚れを落としましょう。
2.蒸しタオルで毛穴を開く
いったん肌を温め毛穴をしっかり開くことで、血流アップの効果を高めます。
3.化粧水・美容液を肌に浸透させる(※角質層まで)
冷やす前にしっかりと保湿ケアをすることが重要です。たっぷりとった化粧水や美容液でうるおいを与えましょう。
4.冷やしたタオルや保冷剤をあてる
まず小鼻の周り、額など特に毛穴が気になる部分を冷やします。次に頬、あごと、顔の中心から外側に向かって少しずつ移動させ、1か所を冷やしすぎないようにまんべんなく冷やします。
5.乳液やクリームで肌を整える
クリームなどを塗った上から冷やすと、油分が肌の上で固まってしまう場合があるため、冷やした後で行いましょう。
ただし、冷やすだけでは効果は持続しません
こうした「冷やすケア」は本当に効果があるのか?という疑問を感じる方もいるでしょう。
実際に肌を冷やしてみると、確かに毛穴はキュッと閉じます。ただし、これは寒い外気にあたったときに鳥肌が立つのと同じで、あくまでも一時的に毛穴が閉じている状態にすぎません。
肌の温度が元に戻れば毛穴も元に戻ってしまうというのが実際のところです。とはいえ、まったく意味がないわけではありません。
メイク前に肌を冷やして引き締めておくことで、ファンデーションのノリがよくなり、メイク崩れがしにくくなります。化粧下地やファンデーションが毛穴に落ちることで毛穴が目立つ、いわゆる「毛穴落ち」の悩みはかなり改善されるでしょう。
そして、毛穴が閉じるという一時的な効果よりも、血流を促す効果の方がより重要です。新陳代謝が活性化すれば、少しずつですが肌のキメが改善されていく可能性があります。
保冷剤で冷やすのはおすすめできない!?その理由は?
冷やすケアそのものには意味があるといえますが「保冷剤を使ったケア」となると話は違ってきます。実は凍った保冷剤の温度は、肌にとって低すぎるのです。
火傷の治療や解熱などでアイシングを行う場合にも注意されることですが、氷や保冷剤による直接冷却は肌にダメージを与えてしまいます。人間の皮膚は、温度が25℃まで下がると必要な酸素が不足してチアノーゼ(血中の酸素不足で暗紫色になる状態)になります。
15℃以下に下がると細胞組織が傷つきはじめ、マイナス4℃を越えると組織の水分が氷結し、凍傷を起こす可能性があります。冷凍庫から出した保冷剤は当然ながら0℃以下の状態。
これを肌にあてて急激な温度変化を繰り返すことは、むしろ肌にとってマイナスな外部刺激となってしまうのです。
物理的に肌を傷つける
保冷剤を使うリスクには形状の問題もあります。保冷剤には、柔らかいジェル状で凍らせると固まる「ソフトタイプ」と、プラスチック容器に入った「ハードタイプ(固まらないタイプ)」の2種類があります。
おまけについてくる保冷剤は、ほとんどが軽量で持ち運びやすい高分子吸水ポリマー素材を使ったソフトタイプのものです。吸水ポリマー自体は紙おむつなどにも使われるもので危険性は特にありません。
問題はそれを包む「ポリエチレン」や「ナイロンフィルム」です。凍らせると角が鋭くなるため、顔にあてたときに肌を傷つける恐れがあります。
また、安価な使い捨てタイプは何度も使っているうちに破けてしまうリスクもあります。
極端な冷えはトラブルにつながる
どこの家庭にもあって何度も使える保冷剤は、確かに手軽で便利、しかも無料と魅力的なアイテムです。ですが、肌を冷やす温度が低すぎるために毛細血管が激しく収縮し、顔の赤らみやかゆみを起こすことがあります。
また、肌は下がった体温を元に戻そうとするときに皮脂を分泌します。それがほどよい温度差であればいいのですが、極端に冷たい状態からの回復は肌への刺激となり、皮脂の過剰分泌を招いてしまう恐れがあります。
そうなると余計に毛穴を広げる原因となってしまい、結果として毛穴トラブルを悪化させるばかりか、肌の乾燥、たるみ、シワなど、別の肌トラブルを招く恐れもあります。保冷剤を直接お肌にあてることは絶対に避けてください。
保冷剤を使う場合の注意点
それでも、家事や仕事で時間の余裕がないときに、手軽に冷蔵庫から取り出してケアができるという点は魅力です。どうしても保冷剤を使いたいという場合には、いくつか注意すべきポイントがあります。
Point1.直接肌にあてない
ガーゼや柔らかいタオルなど肌触りのよい布で保冷剤をくるんでから使うようにしましょう。
Point2.同じ部分に20秒以上あてない
1か所にあてるのは3秒くらいにとどめ、少しずつ位置をずらしながら冷やしましょう
Point3.冷蔵庫で冷やした保冷剤を使う
おすすめしたいのは、保冷剤を冷凍庫で凍らせず、冷蔵庫で冷やした状態で使う方法です。これなら肌が冷えすぎる危険はありませんし、冷凍しなければ固まらず、柔らかい状態なので、肌のカーブにあてやすくなります。
Point4.タオルなどで代用
肌荒れが酷いとき、敏感肌の人の場合は、保冷剤ではなくタオルを冷水に浸して固くしぼったものや、冷やした化粧水などで「冷やしケア」をしましょう。冷水ですすぐだけでも毛穴への効果は十分に期待できます。
大切なのは前後の保湿ケア
「冷やすケア」を続けることが毛穴の開きに影響するとすれば、それは温冷効果によって代謝が上がり、肌質が改善されるというケースです。毛穴の開きが目立たなくなったように思えても、それは短期的なもの。そのため、凍った保冷剤で肌を傷めてしまっては本末転倒です。
もうひとつ大切なのは【保湿の手助け】という役割です。
- 冷やす前に化粧水・美容液を肌に浸透浸透(※角質層まで)させる
- 冷やした後に乳液やクリームの油分で肌を整える
という、前後の保湿ケアがあってこそ「毛穴収縮効果」です。
洗顔後はすぐに肌の乾燥がはじまり、皮脂が分泌されてしまいます。その前にまずうるおいを補い、それから肌を冷やして毛穴をしめること。
セラミドを配合した化粧水や美容液を使うとさらに効果的です。そしてクリームでフタをして、水分油分のバランスのとれた保湿ケアでうるおいを閉じ込める。
毎日の保湿ケアと連動させ、長期的な毛穴対策をすることで自然と毛穴の締まったハリのある肌を作るのが、本来の冷やすケアです。
まとめ
保冷剤に、夏の開いた毛穴を引き締める効果はあります。しかし、急激に肌を冷やすことはリスクを伴うため、冷蔵庫に入れたものを使うなど注意が必要です。
「うるおいを閉じ込める」「血流や代謝を活性化させる」ことで少しずつ肌の健康状態を改善していくのが、冷やすケアの本来の目的です。
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