皮脂をなくすと毛穴は目立たない?
毛穴を目立たせているのは、皮脂の過剰分泌が原因です
小鼻の周りや額は、化粧崩れのしやすいパーツです。朝しっかりメイクをして出掛けても、時間が経つとお肌はテカテカと皮脂が浮いてきて、ベタベタして気分も悪いですね。
小鼻の周りや額といったTゾーンは皮脂腺の多い部分です。個人差はありますが、誰にでもテカリや化粧崩れといった経験があるはずです。
しかしそれ以上に皮脂が過剰に出ているお肌は、それだけでは済みません。
男女問わず、毛穴が目立つと悩んでいる人は多いはずです。その原因の一つは、皮脂の過剰分泌です。
皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が大きく開き、余分な皮脂が毛穴に詰まり、さらに皮脂が酸化して黒ずみを生じてしまいます。
皮脂の毛穴詰まりが炎症を起こして、ニキビを発症させることもあります。
毎朝の念入りメイクで毛穴を隠しているという人もいますが、開いた毛穴のせいでファンデーションがうまく載らなかったり、毛穴が余計に目立ってお肌が汚く見えてしまったりと、余分な皮脂がなにかと邪魔をします。
毛穴レスの美しいお肌を取り戻すためには、皮脂をどうにかしたいものです。
今回は過剰な皮脂分泌の対処法などを紹介していきます。
皮脂をなくすことだけでは、毛穴トラブルは改善されない
「顔から皮脂がなくなれば、すべすべのキレイなお肌のままでいられるのに!」そう願う人も多いでしょう。
しかし皮脂にも重要な役割があり、人が健康に生きていく上で、なくてはならないものなのです。
皮脂は、真皮層から毛穴に開口する皮脂腺から分泌されていきます。そう、皮脂腺と毛穴の開口は同じなのです。
皮脂腺は、頭・顔・手足の順に多く分布しており、体の部位で多いところと少ないところがあります。ちなみに手のひら、足の裏には皮脂腺は存在しません。
皮脂の分泌量は1日あたり1〜2グラムとされており、女性よりも男性の方が多いといわれています。皮脂腺の多い部分は皮脂の分泌量も多くなり、お肌も脂性になりやすいでしょう。
身体の大部分に分布する皮脂腺ですが、その大切な役割を説明していきます。
皮脂腺は皮脂をつくるところです。
皮脂腺は、ワックスエステル・スクワレン・トリグリセリド(中性脂肪)・コレステロールエステルなどの油分からできており、それらの皮脂と汗が混ざり合って皮脂膜をつくります。
皮脂・皮脂膜はお肌を守るとても重要な役割を持っています。
1.水分の蒸発を防ぎ保湿の役目
2.病原菌や紫外線など外部の刺激からお肌を守る最初のバリア機能
3.誰のお肌にも必ず存在する表皮常在菌のバランスをキープし、お肌の弱酸性を保つ役割
などといった役割を果たします。
そのため「皮脂がなくなれば美肌が取り戻せる」という認識は間違っており、本来、健康なお肌を維持するために皮脂はとても重要なのです。
お肌の表面の潤い、保護に役立っている皮脂腺から分泌される皮脂の量は、男性ホルモンの影響で左右されるといわれています。
男性ホルモンの一種、テストステロンが皮脂の分泌を司っていますが、その人ごとの分泌量の大半は遺伝によって決まるとされています。
分泌量のピークは10代の思春期ごろから25歳ぐらいまでです。
皮脂の分泌量は20代を過ぎて、加齢とともに徐々に減少していきます。その減少するスピードも遺伝による影響が大きいようです。
また遺伝の他に、ストレスや生活習慣などの影響も皮脂分泌量を左右しています。
また女性ホルモンのプロゲステロンは皮脂の分泌を盛んにする働きがあります。生理前に吹き出物がでやすい、顔がテカりやすいなどといったことは、このプロゲステロンが影響しているといえます。
皮脂が過剰に分泌されると、毛穴の開きにも影響があります。それは、皮脂腺と毛穴はつながっているからです。皮脂が多量に分泌されると、毛穴は出口を大きく広げるためさまざまな毛穴トラブルが生じます。
しかし皮脂と同じように毛穴にも健康なお肌をつくるための重要な役割があります。
顔には毛穴の数が約20万個もあるとされています。その数は生まれた時からほとんど変わらず、大人も赤ちゃんと同じ数だけ毛穴があるそうです。それほど重要な毛穴の働きを説明します。
1.毛穴から出る皮脂がお肌に膜をつくり、外界の刺激から皮膚を保護する
2.毛穴から出る皮脂が皮膚のpHバランスを保ち、雑菌の増殖を防ぐ
3.毛穴から皮脂や汗と一緒に体内の老廃物を排出する
4.毛穴から出る皮脂が皮脂膜をつくり、お肌の潤いをキープし乾燥を防ぐ
健康で美しいお肌をつくるためには、毛穴も皮脂も欠かせない機能を持っていることがわかりましたね。
健康なお肌を維持するためには欠かせない皮脂ですが、必要以上に分泌されるとさまざまなトラブルを招きます。
1.ニキビができやすくなる
過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まると、皮脂を栄養としているアクネ菌という常在菌がどんどん増殖していきます。アクネ菌が増殖すると、赤く炎症したニキビを発症してしまいます。
繰り返し毛穴に炎症が起こると、ニキビのあとが残ります。ひどくなると、お肌がボコボコとした見た目のクレーターと呼ばれる状態になってしまいます。
2.毛穴の開き
過剰な皮脂分泌で、皮脂の出口となる毛穴が大きく開き、目立ってしまいます。
3.毛穴の詰まり
皮脂量が増えて開いた毛穴に、余分な皮脂・空気中の汚れ・古い角質・クレンジングで落とし切れなかったメイク汚れなどがたまり、毛穴が詰まります。
毛穴に詰まった汚れをそのまま放置しておくと、空気に触れた皮脂が酸化して黒ずみとなります。
毛穴の詰まりはとくに、皮脂腺の多い小鼻の周囲・額・口周りといったTゾーンに目立ちます。いちご鼻と呼ばれるのは、小鼻の周りの皮脂が酸化して毛穴が黒くなった状態のことです。
4.テカリ・べたつき
皮脂が多く出ると、顔がべたつき、テカテカしてきます。化粧直しを頻繁にしている人は、皮脂の過剰分泌に気づくきっかけになります。
なぜ皮脂が多く出てしまうのでしょうか。その原因をあげていきます。
1.食生活
油っこい食事は、皮脂を大量に分泌する原因となります。
日ごろから控えたい食べ物は、ファストフード・揚げ物・ジャンクフード・ポテトチップスなどのスナック類・ケーキ・ドーナツ・和菓子などの甘い物も良くありません。
またバターやラード・ショートニングなど飽和脂肪酸を多く含むものも取り過ぎには注意しましょう。
またビタミン不足も皮脂の過剰分泌を引き起こすと言われています。
2.不規則な生活習慣
不規則な生活・睡眠不足・過剰なストレス・運動不足などは、皮脂分泌を司るホルモンのバランスを崩します。生活習慣を見直すことで、皮脂の過剰分泌を抑えられると言われています。
3.間違ったスキンケア
お肌のテカリが気になるからといって
・ゴシゴシ力を入れて洗顔
・洗顔を1日に何度もする
・洗浄力の強いクレンジング剤や洗顔料を毎日使う
・保湿ケアを怠る
などは、お肌のためによくありません。
こうしたことを毎日続けていると、必要な皮脂までも除去してしまい、乾燥肌を招いてしまいます。
乾燥したお肌は、外部の刺激から肌を守ろうとして、皮脂を過剰に分泌するのです。
皮脂が過剰に分泌させない対策は、外側と内側からのケアが大切です。外側からのケアは、正しいスキンケアを身につけることです。内側からのケアは、生活習慣・食習慣の見直しが重要です。
メイクをしている人はクレンジングをします。クレンジング剤はさまざまなタイプがありますが、合成界面活性剤の配合量が少ないクリームタイプのクレンジング剤がおすすめです。
皮脂の過剰分泌で広がった毛穴には、洗浄力の強いクレンジング剤は刺激が強いため、さらにダメージを与えます。
ふき取りタイプとオイルタイプは合成界面活性剤が大量に入っているので、洗浄力は高いのですが、お肌への負担が大きくなります。毎日使うのは避けましょう。
クレンジングの方法は、皮脂腺の多いTゾーン、Uゾーンを意識してメイクをしっかりと落とします。クレンジングは2分以内で終わらせましょう。
それ以上の時間をかけると、お肌への負担となります。
クレンジングの後は、洗顔をしていきます。洗顔は皮脂を落とす役割があります。洗顔料もいろいろなタイプがありますが、シンプルなものがお肌に負担をかけずに洗い上げます。
合成界面活性剤・合成着色料・防腐剤・香料・バラペンなど、余計なものが配合されていない洗顔料を選びましょう。
天然素材で作られた固形の洗顔石けんで十分、皮脂汚れは除去できます。
洗顔方法は、どのようなタイプの洗顔料であっても、たっぷりの泡で優しく洗っていきましょう。
すすぎはぬるま湯で、丁寧に流します。熱いお湯はお肌に必要な皮脂まで流してしまいます。
洗顔後の保湿ケアは時間を置かずに行います。基本のケアは、化粧水・美容液・乳液・クリームの順です。
保湿ケアで使う化粧品は、配合されている美容成分を見て選びましょう。
おすすめの美容成分は、皮脂の過剰分泌を抑える働きがあるビタミンC誘導体のリン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、APPS(アプレシア)です。
その他、ビタミンE誘導体(トコフェロール)、リコピン、レチノールなどの成分が配合された化粧品がおすすめです。
過剰な皮脂分泌は内側からのケアも必須
正しいスキンケアで毎日お肌を整えることで、テカリや毛穴トラブルは徐々に改善されていきます。さらに生活習慣の見直しを行うことで、お肌の変化をよりいっそう、実感できるでしょう。
過剰な皮脂分泌を改善する生活習慣のポイントをあげてみましょう。
1.ストレッチやウォーキングなど適度な運動を取り入れる
2.質の高い睡眠を十分とる
3.過度なストレスをため込まない
4.タバコを吸わない
5.お酒を飲み過ぎない
6.油っこい食事・甘いものは控える
7.皮脂をコントロールするビタミンを積極的に取る
皮脂を抑えるビタミンは、
・ビタミンB2(レバー・ウナギ・牛乳・納豆など)
・ビタミンB6(カツオ・マグロ・レバー・バナナなど)
・ビタミンC(パプリカ・アセロラ・イチゴなど)
などがあります。
8.紫外線対策を行う
9.洗顔は1日2回までにする
これらのポイントを心掛けた生活を送ることで、お肌のテカリや毛穴トラブルを予防・改善します。
さらにはシワ・シミ・くすみ・ほうれい線・たるみ毛穴など老け顔の予防にもなります。
ぜひ今日から取り組んでみましょう。
(まとめ)毛穴トラブルは、皮脂をなくすことだけが改善策ではない
2.毛穴の役割
3.皮脂の過剰分泌が招くトラブル
4.皮脂の過剰分泌の原因とは
5.過剰な皮脂分泌の対処法
6.過剰な皮脂分泌は内側からのケアも必須
皮脂は、健康で美しいお肌をつくるためには欠かせません。しかし必要以上に分泌されると、テカリや毛穴トラブルの原因となります。
正しいスキンケア、生活習慣で皮脂をコントロールして、美しいお肌を目指しましょう。