- 空気の乾燥
- 紫外線
- 間違ったスキンケア
- 乱れた生活習慣
- 加齢
乾燥肌のための洗顔・クレンジングのコツ
肌を刺激しないようにやさしく丁寧に洗うことです
肌はとても繊細で、ちょっとした刺激によって傷つきます。外部刺激から肌を守り、水分の蒸発を防ぐバリア機能が低下すると、乾燥が進んで肌の状態が悪化するので、注意しなければなりません。
バリア機能の低下の一因は、間違った洗顔です。正しい洗顔とクレンジングを行って、乾燥を防ぎ、健やかな肌をめざしましょう。
乾燥肌を招く5つの原因
乾燥肌の原因は、主に
この5つと考えられています。肌は角質層のバリア機能によって守られていますが、これらはいずれもそのバリア機能を低下させるので、気を付けましょう。
湿度が低くなる秋から冬にかけて乾燥が進むと思われがちですが、夏でもエアコンの使用によって室内の水分が吸収され、乾燥します。
また、紫外線は角質層にダメージを与えるので、シミやしわ、たるみの原因になるといわれています。
さらに、洗顔の時にはできるだけ肌に刺激を与えないようにして、十分に保湿しましょう。
それから、偏食・睡眠不足・ストレス・喫煙などは、肌のターンオーバーのサイクルを乱れさせ、バリア機能の低下につながるので、日常生活を見直すことも必要です。
残念ながら、年齢を重ねると皮脂の分泌量や水分量が減少するので、セルフケアでカバーするように心がけてください。
間違った洗顔が乾燥肌を悪化させます
顔の正しい洗い方を習ったことがある方は少ないでしょう。普段、何げなく行っている洗顔方法が肌の乾燥を進行させているかもしれないので、要注意です。
- 顔の汚れや皮脂を落とす為に、キュッキュッと顔をこすってはいませんか?
- 洗顔後にタオルでゴシゴシと拭いてはいませんか?
摩擦は肌を傷めてしまうので、やめましょう。洗い流すお湯の温度にも注意が必要です。
細胞を活性化して免疫力を上げる為にヒートショックプロテインを増やす方法として、熱めのお湯で洗うという洗顔法が紹介されています。しかし、熱いお湯は必要な油分を奪い、バリア機能を低下させます。
乾燥してバリア機能が衰えている場合は、よりダメージが大きくなる可能性があるので、あまりお勧めできません。それから、洗浄力の強い洗顔料は必要以上に皮脂を落としてしまう恐れがあるので、成分をよく見て、自分の肌の状態に合った洗顔料を選ぶようにしましょう。
乾燥肌向きの正しい洗顔とクレンジングを行いましょう
乾燥肌は、バリア機能が衰えていて、皮膚が簡単に傷つきやすい状態です。そこへ強い刺激を与えれば、バリアは破壊され、潤いに必要な脂質を作る働きも低下する可能性があるので、やさしく洗うようにしましょう。
もちろん、汚れはきちんと落とさなければなりません。なので、汚れや余分な皮脂を落としつつ、必要以上に皮脂を落としすぎないように、肌にやさしいといわれるアミノ酸系の洗顔料など、刺激が少ない洗顔料を使うと良いでしょう。
肌の負担を減らす為にはできるだけ短時間で済ませた方が良いのですが、洗う順番に気を付ければ、洗浄力の強い洗顔料を使わずに済みます。洗顔後は季節を問わず、必ず水分と油分を補ってください。
正しい洗顔とクレンジングを行うことは、乾燥肌をしっとりとした肌に変えていく第一歩なのです。
洗顔の目的は、
- 汗
- ほこり
- 汚れ
- 余分な油分
- 古い角質
などを洗い流し、素肌にリセットすることです。基本的には30℃~32℃程度のぬるま湯で洗います。
お風呂で洗う時は高めの温度になりがちなので、気を付けてください。
- ぬるま湯だけで顔全体を洗い、軽く落とせる汚れは落としましょう。
- 洗顔料をよく泡立て、こすらないように洗います。洗顔料に用いられる界面活性剤は、長く付けていると肌への負担が大きくなるので、皮脂が多いTゾーンから洗い始め、乾燥しやすい部分は後にしましょう。
- すすぎ残しがないように、ぬるま湯でしっかりと洗い流します。洗顔の最後に毛穴を引き締める為、冷水を使う人がいますが、毛穴の引き締めは一時的なものです。また、肌の赤みがなかなか消えないこともあります。
- 洗顔後はタオルで押さえるようにして水分を取り、素早くたっぷりと、化粧水や美容液などで忘れずに保湿しましょう。
汚れが簡単に落ちるとか、ダブル洗顔しなくていいとうたわれているクレンジング剤がありますが、それは洗浄力が強いということです。それから、シートタイプのものは旅行中などには便利ですが、どうしても肌をこすってしまいます。
また、アルコールを含むことも、肌に刺激を与える要素となります。たまになら良いのですが、いつも使うのはやめましょう。
- アイメイクなどポイントメイクは先に落とします。リムーバーを十分に染み込ませたコットンで押さえてから滑らせるようにします。
- クレンジング剤をTゾーン、あご、頬の順にのせます。
- 指の腹を使ってやさしくなじませます。
- 30~40秒経ったらメイクが浮き上がるので、ぬるま湯で洗い流します。
※髪の生え際などはすすぎ残しやすい場所なので、念入りにすすいでください。
クレンジング後は洗顔料で洗って、クレンジング剤が残らないようにしましょう。
乾燥肌にやさしい洗顔料の成分
肌にやさしい洗顔料とはどういったものだと思いますか?
肌にやさしいものといえば低刺激と考えがちですが、実は、低刺激という表示には特に基準がないので、本当に肌にやさしいのか分かりません。
また、オーガニックコスメとナチュラルコスメは似ているようで違います。厳しい審査基準をクリアしてオーガニック認証を受けた成分を一部でも配合したものがオーガニックコスメです。
それに対し、自然由来の成分を配合しているものならオーガニック製法で作っていなくてもナチュラルコスメといえます。ただ、植物由来といっても、植物エキスの事情は複雑で、肌に付けるとアレルギーを起こす場合もあるので注意が必要です。
うたい文句に踊らされることなく、洗顔料に使われている成分をよく調べ、自分に合ったものを選ぶ目を養いましょう。
真皮など、ヒトの体に含まれているヒアルロン酸は、
20歳をピークに徐々に減少していき、40歳を過ぎた頃からは急激に減少して60歳代になると20歳代の約半分になるといわれています。
安定性・安全性が高く、保水力に優れたヒアルロン酸は、1gあたり600mgの水を蓄える力があり、肌になじみやすく、しっとり・なめらかに感じさせる保護膜を作ります。
そのヒアルロン酸をナノ化(超微細化)することで、吸収力を高めた成分がナノヒアルロン酸です。
水分を蓄える角質層同士をつなぐのが細胞間脂質です。細胞間脂質は、
- セラミド
- コレステロール
- 遊離脂肪酸
という成分が含まれており、外部からの刺激や水分の蒸散を防ぐバリア機能を果たす上で重要な役割を担っています。
セラミドは、ヒトの皮膚に存在している油分の一種で、加齢などによって減少していくと、角質細胞をつなぎとめる力が弱くなり、角質層の中の水分が保持できなくなります。セラミドを極小粒子化したナノセラミドは、角質層への浸透力がより高まっているといわれています。
ソメイヨシノの葉から抽出されたエキスで、かゆみや炎症を抑える働きの他、過酸化脂質を抑制する抗酸化作用があります。過酸化脂質とは、脂質が活性酸素によって酸化したもので、体にとって様々な悪影響を及ぼす物質です。
皮膚の場合、細胞間脂質を構成している成分の一つであるリン脂質などの酸化が進むと、細胞を傷つけ、バリア機能の低下をもたらします。
タンパク質の構成成分で、角質層内で水分を蓄える要素の一つである「天然保湿因子(NMF)」の約半分はこのアミノ酸でできており、肌の潤いを保つ大切な役割を担っています。
保湿効果が高く、角質層を柔軟にし、保湿する作用があります。また、皮膚表面から空気中へ水分が蒸散される皮膚水分蒸散量の増加によるバリア機能の低下を改善する作用があると考えられています。
さらに、ヒアルロン酸ナトリウムと併用することで、柔軟性と持続性がアップするといわれています。
ヒトの体を構成するタンパク質のうちの約30%がコラーゲンで、真皮においては約70%を占めます。弾力が必要な骨や血管に多く存在し、網目状のネットワークを形成することにより、肌のハリと柔軟な伸縮性が生まれます。
しかし、年齢を重ねるとともに減少するので、若い頃よりも肌がたるんだり、しわが増えたりする恐れがあります。また、紫外線や糖化(余分な糖質が体内のタンパク質などと結びつき、細胞などを劣化させる現象)もコラーゲンの減少や繊維の破壊を招くので、紫外線をブロックしたり、食事に気を付けたりするようにしてください。
体内に存在する繊維状のタンパク質で、2倍近く引き伸ばしてもゴムのように元に戻るほど弾力性があるのが特徴です。皮膚においては真皮に存在し、コラーゲンの繊維を支えています。
ツツジ科植物であるビルベリーの葉から抽出したエキスで、ヒアルロン酸の生成を促進させると考えられています。また、抗酸化作用や抗老化作用があるといわれています。
レチノールは、表皮のヒアルロン酸の合成やコラーゲンの生成を行います。また、肌のターンオーバーを促進させ、肌にハリや弾力をもたらすといわれています。
パルミチン酸レチノールは、安定型ビタミンA誘導体とも呼ばれ、劣化しやすいレチノールを安定化する為にパルミチン酸を結合した成分です。刺激が少なく、しわや皮膚のざらつきなどを改善する抗シワ作用が認められたという臨床試験結果が報告されています。
レチニルアセテートともいい、パルミチン酸レチノールと同様に、劣化しやすいレチノールの安定性を高める為に酢酸を結合した成分です。酢酸はパルミチン酸より安定性は劣りますが、肌への浸透性が高く、効き目が現れやすいといわれています。
肌のハリや弾力に関係し、乾燥による小じわへの効果も期待されています。
ヒアルロン酸は水と結合するとゼリー状になり、網目状のコラーゲンのすきまを埋めて、コラーゲンの弾力性を高めます。
多年草のトルメンチラの根から抽出されるエキスです。
- 毛穴を引き締める収れん作用
- 抗炎症作用
- エラスチンを保護する
などの働きあるとされています。
- 果糖
- リンゴ酸
- クエン酸
- ミネラル
- 遊離アミノ酸
- タンニン
などの成分を含有しているセイヨウナシのエキスです。
乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)で発酵させることによって、より高いスキンケア効果を発揮するといわれています。肌をなめらかに保ち、保湿効果に優れていると考えられています。
シソ科植物のタチジャコウソウの花や葉から水、エタノールなど、またはこれらの混合液で抽出されたエキスです。
タチジャコウソウは一般的にはタイムと呼ばれ、古くから防腐剤や空気の浄化などに使用されてきました。数あるハーブの中でも最も抗菌力が強いハーブで、収れん、抗老化、保湿作用もあるといわれています。
皮膚の弾力性を保つエラスチンを分解するエラスターゼという酵素が活性化すると、エラスチンが減少して皮膚を老化させる一因となりますが、タチジャコウソウエキスはそのエラスターゼの活性化を抑制する効果が期待されています。
タンニンとは、様々な植物に含まれるポリフェノールの一種です。日本で常用する代表的な医薬品の性質や純度などを規定している「日本薬局方」では、いわゆる虫こぶと呼ばれている五倍子(ごばいし)または没食子(もっしょくし)から得たタンニンをタンニン酸と定義しています。
タンニンを口に入れると強い渋味を感じるのは、タンニン酸が舌や口の粘膜のタンパク質と結合して、タンパク質を変性(収縮)させるからであり、それが収れん作用となっているといわれています。タンニン酸は通常10%程度の水を含んでおり、その水を皮膚や毛穴などに溶解させることで起こる収れん作用が毛穴の引き締めに役立つと考えられ、化粧品や頭皮ケアの製品、制汗剤などに配合されています。
植物抽出物であるタンニンは、酸化亜鉛などに比べると緩和な収れん作用を示します。
紫外線によって活性酸素が発生すると、メラニンが生成され、様々な段階で酸化していき、最終的には黒色の真性メラニン(ユーメラニン)が合成されます。プルーンエキスには、合成された真性メラニンを表皮細胞に取り込ませないメラニン輸送抑制の働きがあるといわれ、これにより真性メラニンが皮膚の表面に現れにくくなるため、色素抑制作用があると考えられています。
メマツヨイグサの種子から取れる油には、
- リノール酸
- γ-リノレン酸
- カテキン
- プロアントシアニジン
などのポリフェノール類などが含まれ、一般的に月見草油と呼ばれています。メマツヨイグサ種子エキスには、皮膚の老化を促進する過酸化脂質や活性酸素の一つであるスーパーオキシドの生成を抑制する作用があるといわれており、肌のくすみや色素沈着を改善すると考えられています。
また、メラニンの産生を増加させるチロシナーゼの活性化を阻害することによって色素沈着を抑制するともいわれています。
ノイバラの果実を日干しにしたものを漢方では「エイジツ」と呼び、便秘やむくみなどに効能があるといわれています。皮膚に存在するコラーゲンは9種類あり、その中のⅦ型コラーゲンは、表皮を支えて正常に機能させる土台となるⅣ型コラーゲンと連結してアンカーリングフィブリル(AF)を形成し、真皮から基底膜へ栄養を受け渡しています。
このAFが減少すると、皮膚の老化が促進されるのですが、ノイバラ果実エキスはⅦ型コラーゲンの減少を抑制し、産生を促すといわれ、抗老化作用があると考えられています。
ビタミンCはコラーゲンの合成に不可欠なビタミンです。そして、
- メラニン色素の合成を抑制する
- コラーゲンの生成を助ける
- 活性酸素を抑制する
- 肌の新陳代謝を促す
といった効果があるといわれています。
しかし、非常に不安定で、空気に触れると酸化しやすく、皮膚に吸収されにくいという性質があります。それを改良して肌に浸透しやすくし、化粧品として使いやすくしたものがビタミンC誘導体です。
まとめ
肌はあっという間に乾燥してしまいます。だから、つっぱっていると感じる前から肌のお手入れをすることが重要です。
それほど難しいことではありません。毎日の洗顔やクレンジングの方法を見直し、さらにダメージを大きくしないように意識して肌を守りましょう。