頭皮は毛穴が密集し、皮脂分泌の活発なところ。その上、頭髪によって蒸れやすく、不衛生になりがちなので、できものができることがあります。
頭皮にできものがあると、かゆみが生じたり、フケが増えたりすることも。そのまま放置していると、抜け毛や薄毛の原因になることもあるので早めに治したいものです。
そこで今回は、頭皮のできものの種類と正しいケア方法をご紹介します。
頭皮にできるできものの種類と特徴
「頭がかゆい」「髪をとかす時に当たると痛い」……こんなことを感じたことはありませんか。もしかしたら頭皮トラブルを起こしているかもしれません。頭皮にできるできものは大きく次の3つに分けられます。それぞれの特徴をご紹介します。
丘疹(きゅうしん)
一般的に「皮膚のブツブツ」と表現される湿疹のことです。丘のように表面が小さく盛り上がっていることから名付けられました。皮膚に炎症が起きて毛細血管が拡張し、血しょう成分が血管外にしみ出すことで皮膚が膨らんで生じるものです。水ぶくれを起こすこともあります。かゆみを伴うことが多いのですが、かきむしると悪化する恐れがあるため、なるべく触らないようにしましょう。
毛のう炎
毛穴の奥にある毛根を包んでいる部分(毛のう)に炎症が起こる病気です。毛のう部分にできた傷から黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などが毛穴に入り込み、赤みを帯びたブツブツができて、痛みを伴うこともあります。悪化すると硬いしこりのようになりますが、通常は皮膚を清潔に保てば数日で自然に治ります。
腫瘍
腫瘍とは、細胞が異常増殖して塊になったものです。しこりとも呼ばれています。腫瘍と聞くと心配になるかもしれませんが、99%は脂肪腫などの良性の腫瘍です。ただ、まれに血管肉腫やメラノーマといった悪性腫瘍であることもあります。盛り上がった部分から出血が続いたり、どんどん大きくなったりする場合は注意が必要です。早めに医療機関を受診しましょう。
頭皮のできものの原因
頭皮のできものはなかなか治らない厄介なもの。ちゃんと頭を洗っているのにかゆい、赤いブツブツができている、フケやカサブタが見られるという人も多いのではないでしょうか。こうした皮膚トラブルの主な原因として、次の5つが挙げられます。
脂漏性皮膚炎
皮脂分泌が盛んな20〜30代に多く見られる皮膚疾患です。油っぽいフケを伴います。皮膚の分泌量が多いと、常在菌であるマラセチア菌が皮脂を栄養源にして増殖し、皮膚に炎症を起こします。アルコールや刺激物の過剰摂取、睡眠不足、ストレスなどは皮脂の分泌を盛んにするので注意が必要です。
膿痂(のうか)湿疹
いわゆる「とびひ」のことです。頭皮を爪でかきむしったり、爪を立ててシャンプーしたりすると、傷ついた部分から細菌が入り込んで感染します。罹患すると、かゆみを伴う湿疹ができて、頭部に分厚いフケが付着します。
アトピー性皮膚炎
生まれつき皮膚のバリア機能が弱い人や、アレルギーを起こしやすい体質の人に多く見られる疾患です。乾燥による頭皮のフケ、かゆみを伴います。頭皮だけでなく全身にも症状が出るのが特徴です。
接触性皮膚炎
いわゆる「かぶれ」を指します。ヘアカラー(毛染め)は接触性皮膚炎を引き起こす原因の一つです。また、シャンプーのすすぎ残しやスタイリング剤でかぶれることもあります。こうした症状がある人は、パッチテストをすることをおすすめします。
頭皮の乾燥
皮膚が乾燥すると、バリア機能が損なわれ、外部の刺激を受けやすくなります。乾燥が進むと皮膚が敏感になってかゆみが生じやすくなりますが、かきむしることで湿疹となり、さらにかゆくなるという悪循環に陥ります。これを皮脂欠乏性皮膚炎といいます。洗浄力の強いシャンプーや髪の洗いすぎも原因の一つです。
頭皮の正しいケア方法
シャンプー時の摩擦(こすりすぎ)、洗いすぎによる乾燥、シャンプーやリンスのすすぎ残し、スタイリング剤のつけすぎなどは、頭皮トラブルを招きます。正しいケアで頭皮を健やかに保ちましょう。
頭皮の脂をしっかりと落とす
頭皮には皮脂腺がたくさんあるため、普通に過ごしていても皮脂汚れが残りがちです。皮脂は頭皮を守るために必要なものですが、多すぎると逆にトラブルを招いてしまいます。頭皮ケアに特化したシャンプーで、余分な皮脂汚れをしっかり洗い流しましょう。
頭皮をこすりすぎない
シャンプー中に、頭皮を強くこすりすぎてはいませんか。ゴシゴシ洗いは、皮膚を傷つける原因になるので禁物です。指の腹を使って、やさしくマッサージするようにやさしく洗いましょう。
清潔に保つ
頭皮は、皮脂や汗、頭皮についたホコリや花粉、スタイリング剤などで汚れがつきやすい部分です。そのままにしていると細菌が繁殖して、湿疹やかゆみなどの原因になります。シャンプーする時は、髪の毛だけでなく頭皮の汚れもすっきり落として、清潔に保ちましょう。
正しいシャンプーの方法
1.髪を洗う前に、ブラッシングをします。
2.シャンプーをつける前に、36〜38℃のお湯で十分に予洗いをして頭皮の皮脂や汚れを浮かせましょう。髪の表面だけでなく、頭皮もしっかり洗うのがポイントです。
3.シャンプーを手に取り、よく泡立ててから髪と頭皮につけます。
4.指の腹を使って頭皮をマッサージするように洗います。髪の毛は泡でやさしく洗うだけで十分です。
5.シャンプーが髪や頭皮に残らないように、しっかりすすぎます。
6.軽く水気を切ったら、毛先から中間に向かってトリートメントをつけ、もみこみます。3〜5分ほど置いて浸透させたら、しっかり洗い流しましょう。
頭皮トラブルを起こしにくいシャンプーを選ぶポイント
頭皮にできものができるのは、もしかしたらシャンプーが合っていないせいかもしれません。頭皮トラブルを起こしにくいシャンプーを選ぶポイントをお伝えします。
アミノ酸系の商品を選ぶ
シャンプーの洗浄成分は、大きく分けると「石けん系」「高級アルコール系」「アミノ酸系」の3種類があります。
石けん系と高級アルコール系は洗浄力が強いので、頭皮に必要なうるおいまで奪うことも。弱酸性で洗浄力がマイルドなアミノ酸系をおすすめします。
頭皮のタイプのあった商品を選ぶ
シャンプーには「ドライヘア用」「ダメージヘア用」「スカルプケア用」など、さまざまなタイプがありますが、頭皮の状態に合わせたものを選ぶことが大切です。
頭皮のタイプがわからなければ、自分の肌質を参考にすると良いでしょう。
頭皮に良い成分が入っているものを選ぶ
頭皮ケアに特化したシャンプーとして、頭皮環境を整える成分が配合されたスカルプケアシャンプーがあります。
特に薬用の表記があるものは、頭皮トラブルに対する効果が認められた有効成分が配合されているため、より高い効果が期待できるでしょう。
パッチテストを行う方法
初めて使うシャンプーは、パッチテストをすることをおすすめします。パッチテストとは、アレルギーの有無を確認するためのテストです。
1. 腕の内側に100倍程度の水で薄めたシャンプーを3ヵ所塗布します。
2. 1〜2分経ったら洗い流します。
3. これを4日ほど繰り返して問題なかったらOKです。
頭皮のできものに効果が期待できる薬
頭皮にできものができた場合、薬には内服薬と外用薬の2種類があります。それぞれの特徴をご紹介します。
塗り薬
薬局やドラッグストアで手に入り、手軽に使えるのが塗り薬です。塗り薬には「ステロイド外用剤(ステロイド剤)」と「非ステロイド性抗炎症外用剤(非ステロイド剤)」の2つがあります。
ステロイド剤は効き目が強い薬ですが、長期の使用、広範囲の使用には注意が必要です。一方、非ステロイド剤は長期使用への制限がなく、かゆみや痛みのある部位に広く使える代わりに、効き目は穏やかです。
飲み薬
炎症がひどくて塗り薬が使用できない場合や、かゆみや痛みなどの症状が強い場合は、塗り薬と飲み薬を組み合わせて使います。
強いかゆみにはかゆみを引き起こすヒスタミンを抑える抗ヒスタミン剤を、細菌感染による炎症を抑えたい時には抗生物質を服用するのが一般的です。
頭皮のトラブルに悩んだら医療機関で診察を
「頭皮のできものがなかなか治らない」「市販薬の選び方がわからない」。このような悩みがあったら、安易に自己判断しないで、医師や薬剤師に相談しましょう。
慢性化すると治りにくくなるので、早めの受診をおすすめします。
まとめ
髪の毛でおおわれた頭皮は皮脂分泌が多く、汗をかいて蒸れやすいため、汚れやすい場所です。頭皮のできものに悩まされている人も少なくないでしょう。
頭皮トラブルを改善するには、その原因を知ることが第一歩。頭皮ケアの基本である正しいシャンプーの仕方をマスターすることが大切です。
髪や頭皮に負担が少なく、有効成分が配合されたシャンプーを選び、健やかな頭皮環境を取り戻してください。