乾燥肌とタンパク質の関係は?
タンパク質が不足すると乾燥肌になりやすい
お肌の乾燥は冬だけではなく、年間を通して生じる肌トラブルです。乾燥肌を何もせずに放っておくと、シワ、シミ、たるみ、ほうれい線などの老化を早める原因にもつながります。
お肌を乾燥させないためには、外側からのスキンケアだけでなく、体の内側からのケアをプラスすることが大切です。内側からもお肌に栄養を補給することで、ハリとツヤのある健康で美しいお肌をキープできるでしょう。
そもそもお肌が乾燥する原因は、加齢や間違ったスキンケア、偏った食生活、不規則な生活習慣などによって、お肌の新陳代謝といわれるターンオーバーが乱れ、角質層内のバリア機能が低下してしまうからです。
お肌のバリア機能が低下すると、角質層内の水分が蒸発しやすくなり、お肌の水分量がぐんと低下してカサカサ肌になるのです。
潤いある滑らかなお肌をキープするためには、ターンオーバーのサイクルを正常にし、角質層内のバリア機能を整える必要があります。健康なお肌を取り戻すためには、体の中からもケアをしていくことが大切です。
本来、人のお肌に備わっている保湿成分を補う、内側と外側からのケアを紹介しましょう。
タンパク質が乾燥肌を改善する
人のお肌はもともと、皮膚を保湿する成分を自らつくり、角質層内に水を蓄えておく力が備わっています。この角質層内の水分が低下することで、お肌は乾燥します。
お肌の外側から内側にかけて、角質層、表皮、真皮という3層構造になっています。
肌表面の角質層内で水分を保つためには、天然保湿因子(NMF)、皮脂膜、角質細胞間脂質の3つの要素が重要な役割を果たしています。
この角質層にある3つの要素はそれぞれに役割があります。この3つがしっかりと働いている状態で「理想的なバリア機能が保たれている」とされています。
バリア機能とは、角質層に十分な潤いがあり、乾燥と外部のホコリや雑菌などの侵入を防いで、お肌を守る役割のことです。
角質層内のバリア機能が低下すると、お肌はあっという間に乾燥、肌荒れを引き起こしてしまいます。
お肌とタンパク質の関係
お肌のバリア機能の役割を果たす、角質層内にある天然保湿因子(NMF)は、角質層内の水分を保持する役割を持っています。この天然保湿因子の約半分を占めるがタンパク質を構成するアミノ酸です。
約半分のアミノ酸でできている天然保湿因子が減ってしまえば、お肌は乾燥し、潤い不足になってしまいます。またタンパク質はコラーゲンのもとでもあるので、不足するとハリツヤのない肌老化を招くでしょう。
そもそもこのコラーゲンもタンパク質の一種なのでアミノ酸が結合してできています。人の体をつくるタンパク質の約3分の1を占めており、お肌はもちろん、骨、筋肉、髪などほぼ全身に存在します。
コラーゲンの多くは、皮膚に存在しています。線維状や膜状になって細胞同士をつなぎあわせたり、支えたりして強度と柔軟性を保つ働きをしています。
角質層の下にある真皮層の約70%はコラーゲンによってできています。この真皮層のコラーゲンの働きによってお肌のハリと弾力性を支えているのです。
コラーゲンは体内で合成されており、新陳代謝によって日々消費されています。しかし加齢によってコラーゲンを合成できる量は減少し、40代では20代の半分の量ともいわれていています。
年を重ねるとシワ、たるみが目立つのは、こうした原因もあります。乾燥肌や肌老化を予防、改善するためには、天然保湿因子とコラーゲンのもととなるタンパク質を積極的に摂ることが大切です。
皮膚のバリア機能を守るためには、皮膚の角質細胞を形成するタンパク質が必要です。
タンパク質はさまざまな食材に含まれている栄養素です。毎日の食生活の中で意識的に摂取することで、天然保湿因子やコラーゲンの生成をサポートし、美しいお肌を取り戻すことができるでしょう。
タンパク質を多く含む食品は、肉類、魚類(とくに青魚)、卵、大豆、大豆製品、牛乳、乳製品などです。量の目安としては、1食で自分の手のひらサイズの肉や魚です。
タンパク質の他に、美肌づくりにオススメの栄養素を紹介します。
・ビタミンA
天然保湿因子、皮脂膜の生成を促し、皮膚や粘膜の潤いを維持します。またお肌の新陳代謝といわれるターンオーバーを活発にし、健やかなお肌へと改善します。
ビタミンAが多く含まれる食物は、
レバー
ウナギ
卵
ニンジン
カボチャ
ホウレンソウ
モロヘイヤ
シュンギク
ヨモギ
・ビタミンB群
ビタミンB6はタンパク質の代謝に欠かせないビタミンです。ホルモンバランスを整える作用もあるので健康なお肌づくりのためにも積極的に取りましょう。
ビタミンB6を多く含む食べ物
豚肉
レバー
サンマ
マグロ
カツオ
サケ
納豆
牛乳
モロヘイヤ
ニンジン
パプリカ(赤)
シュンギク
ホウレンソウ
カボチャ
ニラ
コマツナ
ビタミンB2は糖質や脂質の代謝をうながし、健康な皮膚の成長をサポートします。また老化の原因となる過酸化脂質を消去する作用があります。
ビタミンB2が欠乏すると、お肌の新陳代謝といわれるターンオーバーが乱れる原因もつながります。
ビタミンB2が多く含まれる食物
レバー
ウナギ
サンマ
マグロ
カレイ
キノコ類
乳製品
卵
大豆製品
・ビタミンE
ビタミンEは、お肌のバリア機能を高める栄養素です。乾燥肌を予防し健康なお肌へと改善します。また高い抗酸化作用があるのが特徴で、老化を防ぎ、若返りのビタミンともいわれています。
ビタミンEは血液の循環を促進する作用があり、体の隅々にまで血液が行き渡ることでお肌の新陳代謝を活発にし、肌荒れを防ぎ、お肌にハリとツヤが出るといった作用も期待されます。
ビタミンEが多く含まれる食物
アーモンド
ヘーゼルナッツ
ピーナッツ
ウナギ
筋子
アンコウの肝
アユ
ニジマス
モロヘイヤ
アボカド
パプリカ(赤)
カボチャ
ダイコンの葉
・ビタミンC
ビタミンCは、お肌の弾力とハリを担うコラーゲンの合成をサポートし、お肌のターンオーバーを正常化する栄養素です。
またビタミンCは体内の活性酸素を軽減する抗酸化作用があるため、お肌へのダメージを防ぎ、シワ、シミ、たるみなどの老化防止にも期待できます。
ビタミンCが多く含まれる食物
イチゴ
キウイフルーツ
ミカン
ブロッコリー
カリフラワー
パプリカ
ゴーヤ
モロヘイヤ
芋類
緑茶
お肌によいビタミンや、タンパク質を補う食物をたっぷり摂取することで、身体の内側からしっかりお肌をケアします。それと同時、毎日の外側からのお手入れでお肌を乾燥から守りましょう。
スキンケアの基本は洗顔とクレンジングです。お肌に合った洗顔料、クレンジング剤を使って、正しい手順で毎日の汚れをしっかりと落とし切ることが美肌への近道です。
毎日のスキンケアを間違った方法でし続けると、お肌のターンオーバーが乱れ、乾燥などの肌荒れを引き起こしてしまいます。これまでのスキンケアを見直して、正しい方法を身につけましょう。
メイクをしている人はクレンジングでメイクをオフします。クレンジング剤はお肌の刺激となる合成界面活性剤の配合量が少ないクリームタイプやミルクタイプがオススメです。
クリームタイプは、乾燥肌や敏感肌でも安心して毎日使えます。逆に使用を控えたいのはオイルタイプとシートタイプです。洗浄力は高いのですが、合成界面活性剤が多量でお肌に大きな負担がかかります。
洗顔料も同様に合成界面活性剤の配合量が少ないタイプ、もしくは合成界面活性剤が配合されていないものを選びましょう。また合成着色料、防腐剤、香料、アルコールなども無添加のものがよいでしょう。
オススメは天然成分由来の固形の石けんです。お肌への刺激物もなくサッパリとした洗い上がりで、どのような肌質でも安心して使えます。
クレンジング、洗顔の正しい方法は、力を入れてゴシゴシこすり洗いをしないことです。こすり洗いは汚れを取る以前に、摩擦によってお肌が傷つき、乾燥肌をさらに悪化させる行為です。
クレンジングは指をクルクルと回しながらメイクとクレンジング剤を優しく丁寧になじませていきます。
洗顔は、どのようなタイプの洗顔料でもたっぷりと泡立てることがポイントです。たっぷりの泡に汚れを吸着させるようなイメージで、泡をお肌の上でなでるようにして優しく洗います。
クレンジング、洗顔で洗い流す際はぬるま湯を使いましょう。高温のお湯は皮脂汚れがしっかり落とせると思いがちですが、熱いお湯はお肌に必要な皮脂までも流してしまうので気をつけてください。
洗顔後は、清潔な柔らかいタオルで優しく水分を拭き取ります。ここでもゴシゴシこするのはNGです。お肌に刺激を与え、肌トラブルを招く原因になります。
乾燥肌を予防、改善する保湿ケア
すでにカサカサの乾燥肌になっている場合は、保湿成分の入った化粧品を使って丁寧にお手入れすることがとても大切です。乾燥肌はシワ、シミ、たるみの肌老化を早める原因になるのですぐに対策を始めましょう。
洗顔後はすぐに保湿ケアを行い、お肌の水分蒸発を防ぎます。手順は化粧水、美容液、乳液、クリームの順にお手入れを行います。
お肌がベタつくからとクリームをつけない人もいますが、化粧水で潤ったお肌の水分蒸発を防ぐためには欠かせないアイテムです。美容液で補った美容成分も逃げないようにしっかりとクリームでフタをしましょう。
化粧品はお肌のバリア機能を強化するセラミド、ハリと弾力を維持するコラーゲン、お肌の水分を保持するヒアルロン酸などの成分が含まれたものを選びましょう。
これらはすべて体内でつくられる成分です。加齢とともに減少してしまうため積極的に補うことで角質層が潤い、お肌の中から乾燥を予防、改善してくれるでしょう。
化粧水の上手なつけ方は、化粧水を手のひらに載せ、体温で温めてから使うとお肌への浸透力が高まります。両手で顔全体を優しく包み込むようにして、じんわりとお肌の奥まで化粧水を浸透させましょう。
(まとめ)乾燥肌の予防と改善は内側からのケアも大切
2.乾燥肌を改善する栄養素
3.正しいスキンケアで乾燥肌を予防、改善
4.乾燥肌を予防、改善する保湿ケア
乾燥肌は角質層内の水分が低下することで起こる肌トラブルです。人が本来持つ角質層内の保湿成分を高めるためには、保湿成分の原料となるタンパク質やビタミン類をバランスよく摂取することが重要です。
食生活にプラスして、毎日の正しいスキンケアでお肌を乾燥から守りましょう。