寝汗と乾燥肌に何か関係はある?
寝汗は、乾燥肌に似たかゆみがある「あせも」などの肌トラブルの原因になります
夏の夜、エアコンのタイマーが切れた途端、寝汗をぐっしょりかいた経験はありませんか?エアコンをつけて寝ていても、朝、なんとなく全身汗ばんで気持ちが悪いと感じる人もいますね。
そんな中、
「寝汗をかいたとき、カサカサと肌が乾燥したようになった」
「普段は気にならないけれど、寝汗をかいた朝、肌の乾燥が気になってしまう」
といった寝汗のあとの肌の乾燥を気にする声があります。
このような肌トラブルを実感するということは、寝ている間にかいた汗で肌になんらかの異常が生じたことを意味しています。では、寝汗が乾燥肌の直接の原因になるのでしょうか?
実は、寝汗が乾燥肌の直接の原因にはならないようです。
でも、寝汗をかいたあと、乾燥肌のようにカサカサと肌全体がかゆくなるなど、寝汗はさまざまな肌トラブルの原因のひとつであると考えられています。
寝汗についてもっとくわしく知ることで、不快な状況から逃れたいものです。
「寝汗の原因にはどのようなことがありますか?」
「寝汗に限らず、汗の役割ってどんなことがあるのですか?」
「寝汗による肌トラブルを避けるにはどうしたらいいのでしょうか?」
このような寝汗と肌トラブルに関するみなさんの疑問や悩みについて、一緒に考えていきましょう。
気持ちの悪い寝汗、どうしてかくの?
寝苦しい夏の夜、エアコンをつけずに寝ると寝苦しいだけでなく、ぐっしょりと寝汗をかきますね。なかには、エアコンをつけていても寝汗をかいてしまう人も多くいます。
寝汗は私たちの生理的な現象のひとつです。就寝するとき、私たちの体はできる限り深い眠りにつけるような体制を整えます。そのひとつが、寝汗です。
深い眠りとは、良質な睡眠のことです。そのためには、徐々に体温が下がっていき、心地よく眠りにつくことが必要です。
汗をかくと、蒸発するときの気化熱により体温が下がります。体温が下がっていく中で、私たちのまぶたは徐々に重くなっていき、そのうち心地よい寝息を立てながら良質な睡眠の世界に引き込まれていくのです。
体調がよくないときの寝汗
私たちの体は良質な睡眠をとるために寝汗をかき体温を徐々に下げていく機能を持っています。寝汗は、私たちにとって、とても大切な生理的現象のひとつです。
でも、「寝汗がひどくて夜中に目が覚めてしまった」「パジャマや寝具まで汗でベトベトになった」というような多量の寝汗は、ほかに原因があると考えられます。
多量の寝汗の原因のひとつは、ストレスです。職場や家庭でストレスを抱えていても、毎日の忙しさにストレス解消の機会を逸している現代人は多くいますね。
このストレスが大きくのしかかってきたとき、自律神経に悪影響を及ぼします。自分では意識していなくても、交感神経と副交感神経のスイッチがうまく切り替わらなくなります。
すると、就寝中の体温調節機能が正常に働かなくなり、寝ている間に体温が異常に高くなり、多量の寝汗をかく原因になるのです。
ストレスはさまざまな病の原因にもなるやっかいなものですね。多量の寝汗が気になったら、「私は今、ストレスを抱えていないかしら?」と、ちょっと立ち止まって考えてみてもよいかもしれません。
晩酌をして気分よく寝たときに限って、夜中に寝汗が気になって起きてしまうことはありませんか?実は、アルコールの摂取が、寝汗の原因になることがわかっています。
アルコールを飲むと、体内にアセトアルデヒドという名前の有害物質が発生します。このアセトアルデヒドは、そのまま体内に留まるわけではありません。
私たちの体は有害物質であるアセドアルデヒドを排出しようと、まず、肝臓内の酵素を使ってアセドアルデヒドを酢酸に変えます。さらに、酢酸を水と二酸化炭素に分解することで、体の外に排出しやすくします。
二酸化炭素は呼気として体の外に排出されるのですが、水は汗や尿となって排出されます。アルコールを多く飲んだとき、夜中にトイレに行く回数が増えたり、寝汗を多くかいてしまったりするのはこのためです。
お酒を飲むことはストレス発散効果もありますが、寝汗が気になるようなら、アルコールの量を減らしてみたり休肝日を設けたりしてみましょう。
40代くらいからは、いわゆる更年期障害の影響でホルモンバランスが崩れやすくなります。このことが寝汗の原因になることがあります。
怒りっぽくなる、イライラする、急に気持ちが落ち込む…など情緒不安定になっている場合、同時に寝汗が多いということがあれば、更年期障害の症状の可能性もあります。
女性の場合には、月経前症候群も原因になります。基礎体温表をつけているとわかりますが、排卵後は個人差があるもののプロゲステロンが増加することで体温が若干上昇するので、寝汗をかきやすくなります。
この場合、月経が始まってしばらく時間が経つと、体温の低下とともに寝汗も収まってきます。自分の寝汗が月経のサイクルと因果関係があるかどうかを、一度チェックしてみてもいいですね。
また、多量の寝汗は、甲状腺の病気やさまざまな感染症の症状であることがあります
あまりひどい寝汗やそのほかの体調変化が気になるときは、一度、病院を受診しましょう。
寝汗をそのまま放置したら、肌はどうなるの?
私たちは就寝中、汗をかきます。その量は個人差もありますがコップ1杯分とも言われています。また、単なる体温調節や良質な睡眠への導入といった理由以外にも、多量の汗をかく場合があります。
では、このような寝汗を放置しておくと、私たちの肌にはどのような変化が生じるのでしょうか。
ここで改めて、寝汗に限らず、汗の役割を考えてみたいと思います。
私たちが毎日かいている汗には、4つの役割があります。
(1)体温を下げる機能
良質な睡眠に導いたり熱中症を防いだりするために、発汗することによって生じた気化熱によって体を冷やすことで体温を下げる役割があります。
(2)保湿機能
汗の成分には、乳酸ナトリウムや尿素といったいわゆる天然保湿因子が多く含まれています。これら天然保湿因子によって、肌を適度に保湿してくれるのも、汗の大切な役割のひとつです。
(3)防御機能
さらに汗には、皮膚表面についた細菌の繁殖を防ぐ生体防御機能を持っています。
(4)タンパク質分解酵素の働きを抑える機能
そのほか、アレルギーの原因となる抗原が持っている、タンパク質を分解する酵素の働きを抑制する役割も果たしています。
このように、寝汗に限らず、汗には私たちの皮膚や身体を守ってくれるさまざまな役割があります。
それなら、「汗をたくさんかいてそのまま放置しておけば、保湿効果が期待でき細菌の繁殖を抑えられる」と思ってしまいますが、本当のところはどうなのでしょうか?
汗には、私たちの皮膚や身体を守るためのいくつかの機能があります。だからといって、もし多量にかいた汗をそのまま放置してしまうとどうなるのでしょうか。
実は、放置した汗は、さまざまな肌トラブルを引き起こす原因になります。
汗による肌トラブルの代表は、「あせも」です。
あせもは、汗の通り道である汗管が詰まることで皮膚に湿疹ができる病気です。
汗がたまりやすい首や皮膚のやわらかい腹部などにできやすく、汗と皮膚の汚れが混ざりあって刺激となり、かゆみの症状を引き起こすやっかいな皮膚疾患です。
あせもになると肌がカサカサした感じになったり、かゆみから皮膚をかいたりして、肌の表面がボロボロになってしまうこともあります。
「寝汗をかいたあと乾燥肌のようになった」という人の中には、このようなあせもといった肌荒れを乾燥肌と取り違えてしまうケースもあるようです。
では、汗や寝汗による肌トラブルを避けるためには、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか。まず、かいた汗は放置しないことが一番大切です。
たとえば、寝汗をかいたと思ったら、朝、顔を洗うときに、首やひじの辺りまでの腕を水で洗い流しましょう。ぬれタオルなどでやさしく汗を押さえるように拭き取ることも効果的です。
もし時間があれば、シャワーを浴びて全身の汗をぬるめのお湯で洗い流すとすっきりできます。38~40℃程度の温度に設定すると、皮膚のバリア機能を回復させながら汗を洗い流せます。
汗を拭き取ったり洗い流したりした後は、保湿ケアが欠かせません。清潔になった肌には、保湿成分を含んだ化粧水やボディケア製品で、全身をしっとりさせましょう。
寝具やパジャマの素材に気を配りましょう
寝ている間に汗をかいてもなかなか気がつくことができず、かなり時間が経過して朝、起きたときに初めて寝汗に気がつくこともあります。
そのため、一晩中肌に汗がついていることも多くあり、肌が蒸れてかゆくなったり、あせもができたりすることも少なくありません。
就寝中でもできるだけ汗をスムーズに蒸発させるためには、寝具やパジャマの素材に注意することが効果的です。できるだけ速乾性の高い通気性のよい寝具やパジャマを選ぶようにしましょう。
とくに汗をかきやすい夏は、「汗を吸い取りやすい綿素材の寝具やパジャマを選ぶ」という人もいます。また、汗などの水分を吸収するだけでなく発散してくれるポリエステル混合素材のパジャマも発売されています。
汗で湿ってもすぐに乾くといった高機能の寝具やパジャマを上手に利用しながら、寝苦しい夏、多量の寝汗をかいてしま
う夜を快適な時間に変えていきましょう。
(まとめ)寝汗を早めに洗い流し、あせもなど乾燥肌に似た肌トラブルを予防していきましょう
2.寝汗をかいたら早めに洗い流し、肌に汗を残さないように心掛ける
3.寝具やパジャマを速乾性の高いものに変えるのも効果的
寝苦しい夏、気がついたらぐっしょり寝汗をかいていたことがありませんか?
寝汗は、ストレスやアルコールの摂取などでも多くなり、あせもなど肌トラブルの原因になります。
寝汗に気がついたら早めに洗い流したり、寝具やパジャマを吸水性と速乾性の高い素材に変えたりして、いつまでも肌に汗を残さないような工夫をしましょう。