乾燥肌と塩分は何か関係ある?
乾燥肌に悩んでいるなら、体の中の塩分に注意することが大切です
- 頬がカサカサする
- 皮膚の表面が粉をふいたように白っぽくなる
- かかとが乾燥でガザガサしている
- 指先の乾燥やひび割れに悩んでいる
- 肌の乾燥で全身のかゆみに困っている
肌の乾燥によるこのような症状に悩んでいる人はいませんか?肌が乾燥すると、メイクがうまく肌に載らなくなるだけでなく、かゆみが生じることもあり、日常生活にも困ってしまいますね。
とくに、30~40代の人の中には、「若いころは乾燥に悩むことなんてなかった」「昔は、乾燥とは無縁で、逆に肌の脂っぽさに困っていたくらいなのに」と、自分の肌の乾燥に困惑している人も多いのではないでしょうか。
実は、加齢とともに私たちの体の中の水分は減少していきます。体内の水分が減少すると、血液中の塩分濃度は高くなります。この濃い塩分が、わたしたちの皮膚や体全体をむしばんでいく原因になっているのです。
乾燥肌と塩分との意外な関係性を理解して適切な対処をすれば、乾燥肌の改善に役立つかもしれません。乾燥肌と塩分の関わりについて、一緒に考えていきましょう。
塩分は、体内になくてはならないものだけれど…
わたしたちの体には、とても多くの水分が含まれています。たとえば、0歳の赤ちゃんでは、体重の約80%を水分が占めています。赤ちゃんの肌がぷっくりとしているのは、豊富な水分を蓄えているからなのですね。
では、大人になるに従って、水分量はどのよう変化していくのでしょうか。
残念なことに、歳をとるにつれ、私たちの体内の水分量は徐々に減少していくことがわかっています。
大人になると、水分量は体重のおよそ60%に減少します。さらに、歳を重ね60歳くらいになると、体内の水分量は体重の約50%にまで減少すると言われています。
水分量が減少すると、血液などの中に含まれている塩分の濃度は上昇します。では、塩分濃度が高くなった体の中では、どのような変化が起きているのでしょうか。
塩分の働きを考えてみましょう
塩分は私たちの体を維持する上で欠かせません。でも、塩分の働きを正しく理解している人はあまり多くはありません。
そこでまず、体の中で塩分がどのような役割を担っているのかを確認しておきましょう。
塩分は食事などで私たちの体の中に入りますが、その後、体液の塩分濃度を保つ働きのため、濃度は0.9%程度になるように調整されています。
塩分濃度は、溶液100gに対して溶けている塩分の重さを%で表したものです。梅干の塩分濃度約20%、濃口醤油約15%、海水3.5%という数字から考えると、体液の塩分濃度はかなり薄いことがわかります。
この塩分は、体の中で塩化物イオンとナトリウムイオンとに分解された状態で存在します。そして、それらイオンが血液などの中に取り込まれているというわけです。
では、私たちの体の中で、塩分はどのような役割を担っているのでしょう。塩分がなくてはならない存在であるとは、どのようなことを言っているのでしょうか。
塩分には大きく3つの役割があります。
(1)血液やリンパ液などの中で細胞の内外の圧力を調整し、細胞が壊れないように安定させて保つ
塩分によって細胞の内外の圧力がコントロールされることで、細胞はコンスタントに栄養物をその内部に取り入れることができるようになります。
(2)神経の伝達
人間の活動は、脳からの司令が器官に伝わることで実行されます。逆に言えば、脳からの司令がなければ人間活動はストップしてしまいます。
ナトリウムイオンの状態で体内にとどまっている塩分は、ナトリウムイオンを神経細胞間で受け渡すことによって脳からのさまざまな司令を全身各所に伝達する役割を担っています。
(3)栄養素の吸収
胃では食べ物の消化、小腸では栄養素の吸収が行われています。胃の中で分泌されている胃液のもとは塩化物イオンであり、小腸での吸収には、ナトリウムイオンが不可欠です。
細胞内外の圧力調整、神経伝達、消化や吸収に大きな役割を果たしている塩分ですが、スポーツなどで大量の汗をかく、下痢や嘔吐で塩分が流出する、加齢で体内の水分量が減少するといった場合、どうなるのでしょう?
塩分濃度が高くなってしまうと、塩分過剰による症状が出ます。
軽度なものなら、口の中の乾きです。また、血圧の上昇や頭痛、吐き気などの症状もあるでしょう。
脱水症状による脱力感、むくみなども塩分濃度が高くなったときの症状のひとつです。さらに長期間、塩分濃度が高い状態のままでいると、体内の塩分バランスが完全に崩れてしまいます。
そういった状態が長く続けば、心臓疾患や脳血管疾患といった生活習慣病のリスクを大きく高めることになってしまうのです。
また、塩分濃度が高いとことは、肌そのものにも大きな悪影響を及ぼします。ドライマウス、ドライアイと並んで、ドライスキンという言葉がありますね。
体の水分量が低下するということは、肌細胞が保持している水分量も低下していることになります。当然、細胞壁や粘膜が傷つきやすい状況になるため、ちょっとした刺激にも敏感に反応してしまうことになります。
また、通常は塩分でコントロールしていた細胞内外の圧力の調整がうまくいかなくなり細胞が壊れたり、食べ物の消化吸収も滞ってしまったりするようであれば、肌に十分な栄養素を送り込むこともできなくなります。
こうして、水分量の不足と塩分濃度の上昇は、健康な肌をドライスキン、すなわち乾燥肌へと変えていってしまうのです。
塩分濃度チェックをしてみましょう!
塩分の大切さと塩分の怖さがわかると、自分の体の中の水分量や塩分濃度が気になりますね。ここで、自分の水分量や塩分濃度がどのくらいなのかをチェックしてみましょう。
- 汗をあまりかかない方である
- 便秘になりやすい体質である
- 足のかかとがひび割れたり、肌のカサカサが気になったりする
- 口の中が乾きやすい
- 目の中の白い部分が赤くなりやすい
このような症状の中で1つでも該当する項目があれば、水分量が不足したり、塩分の摂り過ぎで体内の塩分濃度が高くなっていたりする可能性があります。
自分の塩分濃度をチェックして「塩分濃度が高いかもしれない」と思ったら、一刻も早い水分量のアップと、塩分濃度のダウンに取り掛かりましょう。まずは、体内に水分を補う必要があります。でも、「一気に水をたくさん飲む」というのでは効果がありません。
体が吸収できる水の量は、30分におよそ200cc程度だからです。それより多い分は排出されてしまいます。
一度に大量の水分を摂るのではなく、こまめな水分補給を心掛けましょう。また、寝ているときは大量の汗をかきます。寝る前と起床後に、コップ1杯の水分補給を習慣付けましょう。
また、せっかく体内に水分を取り込んでも、口呼吸をしていると鼻呼吸よりも多くの水分を蒸発させてしまいます。口呼吸はドライマウスの原因にもなるため、できる限り鼻呼吸を心掛けたいですね。
筋肉と体内の水分量が関係するなんて、と驚いた人がいるかもしれません。実は、筋肉の保水率は75~80%です。では、脂肪の保水率は?と言うと、なんとたった10~20%なのです。
筋肉と脂肪を比べると、圧倒的に筋肉の方が保水率が高いため、脂肪を減らして筋肉をつけることで体の水分量を高めることができるのです。
脂肪を減らせれば水分量を高めるだけでなく、ダイエット効果も期待できるので、これは一石二鳥ですね。
毎日の食生活で塩分の摂取を抑えることも大切です。たとえば、スパイスや出汁を上手に活用して、塩分以外の味で料理にアクセントをつけていくことがオススメです。
また、外食や加工食品には塩分濃度が高めのものが多いので、できる限り自炊をすることや、外食の際にもメニューの選択を考える、味の濃いものを残す、量を抑えるなどの工夫をしてください。
それから、つくだ煮や漬物などは塩分が多く含まれています。お酒の肴として食する食品にも、比較的塩分が多く含まれているものがあるので、食べ過ぎには要注意です。
なお、塩分を体の外に排出する働きのあるカリウムを多く含まれる食品を摂取することもポイントです。アボカド、ワカメなどカリウムの豊富な食品を料理に上手に加えて、余計な塩分は体内に残さないようにしたいですね。
体内の塩分だけでなく、肌についた塩分にも要注意
体の中の高い塩分濃度が、体内の細胞や皮膚にも大きな影響を及ぼすことはわかりました。さらに肌に関しては、肌についた塩分、すなわち汗についても注意が必要です。
汗をかくと肌の上には、塩分だけでなく尿素やそのほか雑菌などが残ってしまいます。これを放置しておけば、肌の潤いが失われたり細菌が繁殖したり、肌トラブルの原因になってしまいます。
よく、ウェットティッシュで拭き取るだけで済ませる人がいますが、ウェットティッシュにはアルコール分を含有しているものが多く見られます。皮脂を取り過ぎたり、肌への刺激になったりするので注意しましょう。
肌についた塩分などの汚れは、しっかりと洗い流しましょう。タオルで拭き取る場合には、優しく押さえるように拭き取ります。ゴシゴシと汗を拭くと肌に負担をかかるのでやめましょう。
とくに、大量の汗をかいた後には、全身を石けんや洗浄料できれいに洗い、塩分や汚れをスッキリ落とします。その後は保湿をして、水分と油分を補いましょう。
(まとめ)乾燥肌のときは、体内の塩分濃度と肌についた塩分除去を心掛けましょう
2.体内の塩分濃度が高くなると、皮膚だけでなく全身にも悪影響を及ぼします
3.塩分濃度のコントロールと、肌についた塩分を落とすことで、乾燥肌を改善しましょう
食事で塩分を過剰に体内に取り込んでしまったり、加齢による水分量の低下で体内の塩分濃度を高めてしまったりすると、体のあちこちに悪影響を及ぼしかねません。
水分をしっかりと取り適度な塩分管理を行うことや、肌についた塩分そのものを丁寧に洗い流すことで、塩分から乾燥肌を守り、乾燥肌そのものを改善させたいですね。