乾燥肌は肌の炎症の原因になるってホント?

乾燥肌は肌の炎症の原因になるってホント?

乾燥肌は、さまざまな肌の炎症を引き起こします

乾燥肌は、さまざまな肌の炎症を引き起こします
「冬でもないのに、肌の乾燥が気になる」
「肌がカサカサして粉をふいたようになっている」
「かゆみがでてきてしまっているくらい、乾燥肌に悩んでいる」

多くの人が、このような肌の乾燥についての悩みを持っています。湿度が下がる冬だけでなく、夏でも自分の肌だけが乾燥していたり、メイクのノリが悪かったり、さらにはかゆみに悩んでいるのです。

とくに、30~40代になると、肌の新陳代謝が悪くなったり、ホルモンバランスが乱れたりして、肌の乾燥が起きやすくなってしまいます。肌の乾燥はシワの原因にもなるといわれています。そんな乾燥肌に対して、「いつものスキンケアでどうにかなるだろう」と、乾燥肌になる前に行っていたスキンケアで簡単に終わらせている人はいませんか?

でも、意外なことかもしれませんが「乾燥肌」とひと言で簡単に済ませられないケースがあるのです。実は、乾燥肌はシワの原因になるだけでなく、さまざまな肌の炎症を引き起こす大きな原因のひとつと考えられています。

本気で乾燥肌を改善して肌トラブルを予防したいのなら、「乾燥肌とはどのような肌の状況なのか」「乾燥肌が原因の炎症」「乾燥肌対策にはどのようなものがあるのか」を、ここでしっかりと考えていきませんか?

乾燥肌とは、潤いがなくなりバリア機能が働かなくなった肌のことです

「かさつく」「粉をふく」「かゆみがある」など、乾燥肌にはさまざまな自覚症状があります。
「メイクがうまく肌にのらない」「洗顔後に肌が異常につっぱる感じがする」といった悩みにもつながっています。

では、乾燥肌とはどのような肌のことなのでしょうか。通常、肌は自ら肌細胞に水分を蓄え、潤いを保つ機能を持っています。しかし、乾燥肌になると、その機能が働かず、肌の潤いがなくなった状態になります。

乾燥が進めば、皮膚の表面ははがれ落ちたり、ひび割れをおこしたりし、それがカサつきやかゆみを引き起こす原因になってしまうのです。本来私たちの肌には、肌細胞に水分を蓄える機能が備わっているはずです。でも、気がついたときには保湿昨日が十分に働かなくなって、肌が砂漠のようになっているのはどうしてなのでしょうか?

まずは肌が本来持っている、「水分を蓄える機能」からみていきましょう。

私たちの肌には保湿機能が備わっています

私たちの肌には保湿機能が備わっています
乾燥肌対策を考える前に、乾燥肌とはどのようなものであるか、知ることは大切です。そこで、まずは私たちの肌にもともと備わっている乾燥肌に対抗できる保湿機能を知ることからはじめましょう。

1.保湿を担う3つの要素

私たちの肌には、保湿機能を担っている要素が3つあります。

  • 皮脂から分泌される「皮脂」
  • フィラグリンという成分が由来となっている「天然保湿因子」
  • 角質にある「細胞間脂質」

この3つです。

皮脂は、皮脂腺から分泌されます。皮脂が皮膚の表面に流れて肌の表面に膜を張ることで、肌が蓄えている水分の蒸発を防いだり、肌そのものを弱酸性に保ってくれたりする働きを持っています。

天然保湿因子は、水分を抱え込む保湿性に優れている水溶性物質のことです。角質細胞内にあり、フィラグリンという成分が由来でアミノ酸、乳酸、尿酸などからできています。

天然保湿因子は、肌のターンオーバーが行われる過程で生成されます。そのため、ターンオーバーの周期が乱れたり遅くなったりすると、生成に遅延が生じます。

細胞間脂質とは、細胞同士をつなげる役割を持っています。細胞間脂質もターンオーバーの過程で生成されます。成分の50%を占めるセラミドが水分をはさみ込んで細胞間を接着させる働きをもっています。

2.保湿の3要素が機能しなくなる原因は?

保湿に関わる3要素、皮脂、天然保湿因子、細胞間脂質が機能しなくなっていくと、肌の乾燥は徐々に進んでいきます。本来持っているはずの保湿3要素が機能しなくなる原因には、さまざまなものがあります。

たとえば、ホルモンバランスの減少です。皮脂の分泌を促すのは、男性ホルモンです。男性ホルモンが少ない女性や、加齢によって男性ホルモン分泌のピークを過ぎてしまった場合には、皮脂量が減少していきます。

また、加齢、睡眠不足やストレス、食生活といった生活習慣の乱れなどの影響を受け肌のターンオーバーの周期が乱れれば、天然保湿因子や細胞間脂質の生成が滞ります。

そのほかにも、常時エアコンのきいた室内で仕事や家事をしていたり、紫外線を浴びたりすることも、肌にダメージを与え、保湿に関わる3要素の機能を衰えさせる原因になっています。

3.乾燥肌はバリア機能も低下しています

乾燥肌は保湿のための因子が減少することで肌の水分量が低下します。すると外敵から身を守るバリア機能も低下している状態になっています。

そのため、ちょっとしたちりやホコリ、花粉などが皮膚の表面についても、その刺激に過敏に反応してしまうため、カサつきやかゆみなどの原因となるのです。

洗顔後に異常に肌がつっぱってしまうのも、バリア機能を失った肌が洗顔料に過剰に反応してしまうことが原因です。そして乾燥肌は、もっと重大な肌の炎症につながる原因になることがあるのです。

乾燥肌が原因となる肌の病気

乾燥肌が原因となる肌の病気
実は、乾燥肌は単なるかさつきやかゆみといった肌トラブルで終わるだけではありません。
それ以外にも、いくつかの肌の病気を引き起こす原因になることがあります。

「わたしは乾燥肌だから」と、簡単に見過ごすことができないケースもあるので、ここで乾燥肌が原因となって引き起こされる肌の病気を知っておきましょう。

1.皮脂欠乏性湿疹

乾燥肌が原因となる肌の病気のひとつは、皮脂欠乏性湿疹です。この病気は、皮膚の表面に分泌されるはずの皮脂の分泌が減少することで肌が乾燥し、そこに炎症が生じることで発症する皮膚トラブルです。

皮膚の表面が白い粉をふいたようになる、ひび割れにより痛みやかゆみが生じる、皮膚の表面がガサガサとした感じになるといった症状が特徴です。

高齢者に多く見られ、おもに大気中の湿度が低下する冬の時期に悪化しやすい特徴があります。また、洗浄力の強いボディソープや石けんを使っている清潔好きの人にも見られる病気です。

皮脂欠乏性湿疹への対策としては、加湿器などを使って適度な湿度を維持することが有効です。

また、入浴の際には熱いお風呂に長時間入ることはやめて、ぬるま湯に短時間につかる程度の入浴にしましょう。顔や体を洗う際には洗浄力が強すぎない洗浄剤を選び、ゴシゴシこすらないように洗うようにしてください。

乾燥肌は敏感な状態になっているので、下着や寝具類は、肌への刺激が少なくソフトな素材を選び、いつも清潔にしていることが大切です。

2.手湿疹

手湿疹とは、手首から指先の限定された部分にのみ湿疹ができる病気です。水仕事が多い主婦や調理師、薬剤などが肌に触れる機会の多い美容師などに多く発症します。

手の皮膚は、比較的厚みがあるので刺激には強いと思うかもしれませんが、皮脂の分泌量は少ないのが特徴で、水仕事などの影響を受けると乾燥状態が進み、炎症を起こしてしまいます。

手のひらにかゆみや赤みが発生する、手全体がかぶれたような状態になるといった症状が特徴です。かゆくてかき過ぎてしまうと、より赤くなって腫れたり、跡が残ったりするので注意してください。

水を使うことを避けられない場合が多いため、治りかけてはまた悪化するといったことを繰り返すケースも多くあります。しかし、できる限り手への刺激や負担を軽減する努力や工夫をするようにしましょう。

たとえば、ゴム手袋をして家事をする、食器洗い機を活用する、手が水や薬剤に触れる時間をできる限り短くすることなどが効果的です。また、お湯の使用は肌の乾燥を悪化させるため、できる限り避けてください。

3.アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う皮膚炎のことです。アトピー性皮膚炎の原因は、皮膚が乾燥することによって、バリア機能に異常がおこり、外部からの刺激に過度なアレルギー反応を引き起こすことです。

アトピー性皮膚炎が生じ、悪化する原因はさまざまですが、食物アレルギーやダニなどの環境アレルギーが原因であったり、ストレスなども悪化因子の一つであったりすると言われています。

アトピー性皮膚炎は皮膚が乾燥状態のときに、肌のバリア機能が低下していることで引き起こされることがわかっています。

そのため、花粉、ダニ、食物といった原因となるアレルギー物質の除去はもちろんのこと、肌の乾燥状態を改善することもアトピー性皮膚炎の改善に効果的であると考えられています。

乾燥肌を改善するために

乾燥肌を改善するために
ここまでで乾燥肌をそのまま放置してしまうと、さまざまな肌トラブルを引き起こすことがわかりました。
では、乾燥肌を改善する方法をみていきましょう。

もっとも大切なのは、皮膚そのものに潤いを与えることです。市販の保湿クリームや保湿をうたっているスキンケア製品を活用して、保湿成分を丁寧に肌に湿布しましょう。

また、乾燥肌に必要以上に刺激を与えないために、洗顔時、メイク時などに肌をこすり過ぎないように心掛けましょう。

洗顔はゴシゴシと肌をこすらず優しく泡で包み込むように、メイクはパフでそっと押さえるようにといった工夫が必要です。

それから生活習慣の見直しをして、体の中から健康な肌細胞を作り出すサイクルをよみがえらせるようにしましょう。

質のよい十分な睡眠、ストレスの発散、バランスのよい食生活などを続けることで、ターンオーバーのサイクルが正常化していきます。

これらの工夫をしても乾燥による炎症が治まらなかった場合には、医師の診断を受けましょう。処方された保湿剤やステロイド剤などを効果的に使って、乾燥肌や肌の炎症を根治させることも考えてください。

(まとめ)肌の炎症を防ぐために、乾燥肌のケアは日頃から行いましょう

1.肌の乾燥は、皮膚の保湿機能が低下することで起こる
2.肌が乾燥は、さまざまな皮膚の炎症の原因となる
3.肌の乾燥を改善するために、日頃から対策を行うことが重要

私たちの肌には、皮脂、天然保湿因子、細胞間脂質による保湿機能があります。しかし、ターンオーバーの乱れ、ホルモンバランスの変化、生活習慣などが原因で保湿機能が低下すると、肌の乾燥が起こります。

肌の乾燥は、さまざまな肌の病気を引き起こす原因にもなります。たかが乾燥肌と思わずに、早めに乾燥肌対策をすることで、健康は肌を取り戻しましょう。

関連記事一覧