乾燥肌にもできものができやすいって本当?

乾燥肌にもできものができやすいって、本当?

乾燥肌にもできものはできます

乾燥肌にもできものはできます
「乾燥肌だからニキビなどのできものとは無縁と思っていたら、急にできてしまった」
「乾燥肌なのにできものがあるので、毎日のスキンケアをどうすればいいのか悩んでいる」

肌の悩みにはさまざまなものがあります。その中でも、このように乾燥肌とできもの、その両方に悩む声が30代から急に増えてきます。「わたしもその一人だ!」と、思った人はいませんか?

実は、乾燥肌でもニキビなどのできものはできるのです。とくに、30代を過ぎた頃から、「肌はカサつくのに突然、できものが出きて困っている」といった肌トラブルに悩む人が現れ始めます。

乾燥肌なら水分とともに適量な油分も補いたいけれど、ニキビのようなものなら反対に油分のコントロールが必要になります。乾燥肌とできもの、どちらに比重を置いて日々のスキンケアをすればよいのか、迷ってしまいますね。

でも、肌のメカニズムや乾燥肌の特徴を理解すれば、乾燥肌とできもののケアを両立させたスキンケアは意外とシンプルに考えることができます。

乾燥肌とできものの関係性をしっかりと理解して、どちらの肌トラブルも解消できるようなスキンケアを一緒に探っていきましょう。

そもそも乾燥肌って何?

しばしば、目元や口元が乾燥でつっぱったり、頬がカサカサしたりすることがあるでしょう。実は、私たちの肌はその表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」といった複数の層から構成されています。

さらに「表皮」は、「角質層」「顆粒層(かりゅうそう)」「有棘層(ゆうきょくそう)」「基底層」の4層構造から成り立っています。

この角質層は、肌内部からの水分蒸発を防いだり、紫外線といった外側から受ける刺激から肌を守ったりする働きを持っています。

角質層がしっかりと自分の役目を果たすことで、肌自身の持つバリア機能が働きます。その結果、肌は乾燥することなく健全でいられるのです。

では、乾燥対策のキーワードになる「角質層」には、保湿のためのどのような要素が存在しているのでしょうか。

角質層には、天然保湿因子(NMF)と細胞間脂質があります

角質層には、天然保湿因子(NMF)と細胞間脂質があります
肌を構成する層の中でも、とくに保湿に関わっているのが角質層です。その角質層には、「天然保湿因子(NMF)」と「細胞間脂質」という2つの保湿因子が存在しています。

1.角質層にある天然保湿因子は、肌の柔軟性と弾力性に影響を与えます

天然保湿因子とは、角質層のさらに下に位置する顆粒層の細胞の中にあるタンパク質が、肌のターンオーバーによって角質層に押し上げられる中で生成されるものです。

天然保湿因子の成分は、アミノ酸、ミネラル、ピロリドンカルボン酸などです。天然保湿因子の役割は、水分を吸着することで、肌の柔軟性や弾力性を保ち、高めていくことにあります。

もし、天然保湿因子がうまく生成されないと、肌の乾燥が進むだけでなく、肌のターンオーバーの停滞が生じ、乾燥以外にもさまざまな肌トラブルがおきてしまうのです。

2.細胞間脂質も、肌の保湿力を決定する要因です

天然保湿因子のほかにも、角質層には保湿力を決定づける要因があります、それは、セラミドに代表される細胞間脂質です。

細胞間脂質は、肌のターンオーバーによって角質細胞が角質層に達したとき、細胞の中にあったセラミドが細胞間脂質に混じることで生成されます。

角質細胞と角質細胞の間を埋めるように広がった細胞間脂質は、過剰な水分蒸発や外部からの異物の進入などを防ぐ働きをします。

細胞間脂質はセラミドだけでなく、遊離脂肪酸、コレステロールなどからも生成されており、肌の保水力の約80%を担っているとも言われている重要な成分と言えます。

3.肌の表面にある皮脂膜でも保湿

天然保湿因子と細胞間脂質のほかに乾燥を防いでくれるのが、肌の表面にある皮脂膜です。
皮脂膜とは、毛穴から分泌されている皮脂と、汗腺から分泌される汗が混ざったもので、肌をおおっているものです。

これが天然の保湿クリームの役目を果たしており、水分蒸発だけでなく、角質のはがれ防止、ちりやホコリからの防御といったさまざまな働きを担っています。

皮膚膜は、天然保湿因子と細胞間脂質などがある角質層の上を覆ってフタとなることで、肌のキメを整えたり滑らかさを維持したりという役割もあります。日々のお手入れでも注意したい部分ですね。

このように肌を乾燥から守るために、私たちの肌にはさまざまな構造が整っています。しかし、さまざまなことが原因となって、30~40代になると、肌の乾燥が進んでしてしまうのです。

肌が乾燥する原因は?肌トラブルが起こりやすくなるメカニズムって?

肌の乾燥を守るために、私たちの肌には天然保湿因子と細胞間脂質や皮脂膜などさまざまな機能が備わっています。しかし、加齢とともに肌の乾燥に悩む人が多くなるのはどうしてなのでしょうか。

1.肌の乾燥には、生活習慣、ストレス、紫外線、エアコンなどさまざまな理由があります

肌が乾燥状態におちいってしまう原因は、日常生活の中に潜んでいます。たとえば、何気なく行っている生活習慣には、乾燥の危険が多く内在しています。

そもそも、年齢を重ねることで肌そのもののターンオーバーの周期が長くなっていきます。つまり、肌の再生能力が低下するわけですから、一度乾燥してしまったら20代の頃のようにすぐには、もとに戻らないのです。

仕事や家事で忙しい30~40代は睡眠不足も深刻です。外食やファストフードを摂取する機会が増えることで、野菜不足や肉偏重の食生活も私たちの体を内部からむしばんで、肌トラブルを引き起こす原因になります。

ストレスや紫外線も私たちの肌を容赦なく乾燥状態におとしいれる原因になります。
例えば、快適な室内空間を維持してくれるエアコンから送られる風が、私たちの肌を知らぬ間に乾燥させているのです。

また、間違ったスキンケアも、肌に余計なストレスをかけてしまうため、保湿力を弱めてしまう大きな要因です。洗顔方法ひとつとっても、私たちの身の回りや習慣の中に肌の乾燥リスクが点在しているのです。

2.乾燥によって毛穴が弱り、肌荒れが起きやすくなります

このように、さまざまな理由で自分でも気がつかないうちに肌の乾燥は進んでいます。
一般的に、乾燥していればニキビなどのできものとは無縁になるようなイメージがあるかもしれません。

しかし、現実には、肌の乾燥とできものの両方に悩む30~40代が多いのはなぜでしょうか。

それは、乾燥肌のしくみを考えることで理解できます。

確かに、乾燥肌であれば脂質の分泌は少ないはずです。ただ、脂質の分泌が少なければ、皮脂と汗の混じった天然の保湿クリーム「皮脂膜」によって、肌の表面をしっかりと潤すことができなくなります。

皮脂膜がしっかりと角質層にフタをすることができなければ、角質層に保たれていた水分がどんどん蒸発してしまいます。水分が失われた角質層は硬くなり、毛穴の部分もこわばってしまいます。

肌には、天然保湿因子と細胞間脂質といった保湿に関わる要因が備わっています。しかし、水分そのものが蒸発してしまっては、それらの機能が正常に働くことは難しくなります。

このような毛穴は、少量の皮脂が分泌されただけで詰まってしまいます。
その結果、肌は乾燥しているのに、できものができてしまうという現象が起きるのです。

3.角質層を復活させることがポイント

では、乾燥肌と乾燥肌にできてしまったできものの両方を同時に解決するためには、どのような方法があるのでしょうか。それは、皮脂膜や角質層の働きを正常化することにあります。

もともと、皮脂膜や角質層には自ら保湿をする力が備わっています。その力を発揮できる環境を整えることが、肌トラブル解消の近道になるのです。

そのためには日々のお手入れの際、肌細胞の栄養源になるような、セリン、リジン、グリシンといったアミノ酸や多糖類などが含まれているローションやパックなどを使用して、肌を丁寧に保湿します。

乾燥から肌を防御してくれる美容成分は、ヒアルロン酸、グリセリン、エラスチン、プロピレングリコールなどがあります。乳酸ナトリウム、尿素、ミネラル類も天然保湿因子の生成を高めてくれる成分です。

ユーカリ抽出液もセラミドの生成を高めてくれます。化粧品を購入する際には、どのような美容成分が配合ざれているかをよく確かめてから購入してみましょう。

また、肌が乾燥しているということは、肌がもっているバリア機能も低下していることも意味しています。スキンケア時には、なるべくシンプルなスキンケアを心掛ける必要があります。

化粧品の重ねぬりは、肌に過度な美容成分を与えることや、化粧品に含まれる添加物までも多く肌につけることにもつながります。過度な刺激は、肌を弱め、ますます肌の砂漠化を助長するのです。

まずは、保湿成分に絞ったシンプルケアで肌の回復を最優先しましょう。

肌に負担をかけないように細心の注意を

肌に負担をかけないように細心の注意を
乾燥肌のできもの対策には、角質層の健全化がカギになります。
そのためには、保湿力のある美容成分を補うことで肌が本来の力を取り戻すことが重要ですが、ほかにも覚えておきたい注意点があります。

それは、肌に余計な負荷をかけないことです。洗顔時、洗顔料の泡をしっかりと泡立てず、ゴシゴシと顔をこすっていませんか?

化粧水や保湿クリームをつけるとき、美容成分を肌の奥深くまで浸透させたい一心で、肌を必要以上に摩擦していませんか?

肌に過度な刺激を与えることは肌を傷めることになり、乾燥だけでなく、シミやシワなどの原因にもなってしまいます。なるべく肌と触れないような意識を持って、優しくスキンケアしてください。

もちろん、メイクをするときにも注意が必要です。とくに、ベースメイクをするときには手に力が入りやすくなってしまいます。
肌の上にそっと載せるようなイメージを持って、優しく肌のキメを整えていってください。

(まとめ)乾燥肌のできものに困ったら、まずは、角質層の働きを取り戻すようにしましょう。

1.私たちの肌には、皮脂膜、天然保湿因子、細胞間脂質など保湿をする力が本来備わっている
2.角質層が乾燥することで毛穴がこわばり、そこに皮脂が詰まってできものができる
3.日々のスキンケアで保湿成分を補いながら、角質層の働きを健全化させることが重要

私たちの生活には、肌を乾燥させるリスクが潜んでいます。乾燥を未然に防ぐことはもちろんですが、もし乾燥状態におちいってしまったときには、速やかに肌の保湿力を回復させましょう。

角質層が潤えば、肌は自らの力で再生していきます。
肌に負担をかけないスキンケアを続けていけば、きっとみずみずしい肌を取り戻せることでしょう。

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