- 長い時間かけた洗顔が肌にどのようなダメージを与えるのか
- どのくらいの洗顔時間がいいのか
- 正しい洗顔方法はどのようなものなのか
洗顔にかける時間いわゆる10秒洗顔は短すぎる?
10秒以内でなくてもよいのですが洗顔はできるだけ短時間で済ませるようにしましょう
毎日のスキンケア、あなたはどのくらいの時間をかけていますか?
「朝は仕事や家事に忙しいから、洗顔に3分、メイクアップに5分」なんていう人も多いですね。
「夜はお風呂に入りながら、ゆっくりメイク落としをする人も多いのでスキンケアの時間は比較的長くとる」といった声も聞こえます。
スキンケアの基本は洗顔です。洗顔がしっかりとできていればメイクのノリもよくなったり、肌トラブルも軽減されます。
そのため「洗顔だけはとくに念入りに時間をかけている」というケースも少なくありません。
でも時間をかけて洗顔することが、本当に肌のためによいのでしょうか?
実は、洗顔にかける時間が長いとトラブルが起きやすい肌を作ってしまうことがあります。
10秒は大げさだとしても、洗顔を行う時間はできる限り短くするほうが肌への負担を軽減できます。ただ、しっかりと汚れを落とせなければ洗顔する意味がなくなってしまいます。
毎日の洗顔について改めて考えてみましょう。
そもそも、人はなぜ洗顔するの?
私たちは朝起きて顔を洗い、仕事から帰って夜も顔を洗います。なぜ顔を洗うのでしょうか?
洗顔をすることで気分がスッキリしてリフレッシュ効果が期待できます。ストレスの多い現代社会では、洗顔もちょっとした気分転換に役立ちます。
受験生が勉強中に顔を洗うのは、眠気覚ましの意味もあります。副交感神経から交感神経への切り替えスイッチが入り、自律神経が活動を開始するのに役立つからです。
では美容の観点から考えた場合、どうして洗顔するのでしょうか?
それは、肌で酸化した皮脂、そこに付着したちりやホコリ、メイク汚れ、汗などを洗い流すことができるからです。
ではどのくらいの時間をかけて洗顔すれば、私たちの肌から皮脂や汚れ、汗などが洗い落とせるのでしょうか。
ところで肌がどのような構造になっているのか、知っていますか?
肌の構造を知れば、洗顔によって落とせる汚れと落とせないものがわかってきます。そうすれば洗顔に必要な時間がつかめるようになります。
20代とは違って、30~40代は、肌トラブルも増加してきます。ニキビに悩んでいた時代とは異なり、
- シミ
- シワ
- 毛穴の開き
- 肌のたるみ
など、挙げればキリがありません。
このような肌トラブルを解消するためにも、まずは肌の構造をしっかり理解することが重要です。私たちの肌の中についてみていきましょう。
私たちの皮膚は、外側から「表皮」と「真皮」と呼ばれるものからできています。「表皮」と「真皮」をあわせた皮膚の厚さは、0.4~1.5mm程度です。
そのうち、表面から0.3mmほどを「表皮」と呼んでいます。表皮は表面のほうから「角質層」「顆粒層」「有棘(ゆうきょく)層」「基底層」という順番に並んでいます。
角質層は、表皮のもっとも外側にある組織です。およそ28日周期で生まれ変わり、自然とはがれ落ちていくものです。
このしくみをターンオーバーと言います。
角質層は、細胞の構造がまるでブロックを積みあげたようになっているのが特徴です。ブロック同士をつなぐ役割をしているのが、水分をキープしてくれるセラミドを主成分とする細胞間脂質です。
つまりみずみずしい肌を維持するためには、28日周期の肌のターンオーバー周期が正常に繰り返されることと、セラミドが十分に機能することがポイントになることがわかります。
さらに表皮付近には、皮脂腺から分泌される皮脂と汗とが混ざり、天然の保湿膜ができています。健康な肌であれば、皮脂膜は弱酸性に保たれ、細菌などの増殖抑制機能を発揮してくれます。
表皮の下にあるのが、真皮です。真皮には、コラーゲン線維が網目状に張りめぐらされています。
このコラーゲン線維同士をつないでいるのが、弾力性のあるエラスチンです。
さらにそれらの隙間には、ヒアルロン酸が含まれており、皮膚の内側から潤いを与え、弾力や柔軟性を出しています。
また真皮には美しい肌つくりに欠かせない線維芽細胞という名の細胞が含まれています。線維芽細胞は、ヒアルロン酸、エラスチン、コラーゲンなどを生成し、反対に古くなったコラーゲンなどの分解も行っています。
加齢による皮膚細胞の老化によって、エラスチンなどの生成がうまくいかなくなると、肌内部の水分量の調節ができなくなり、弾力性や柔軟性が失われてしまいます。
30代頃から、シワ・シミ・毛穴の開き・肌のたるみなどが気になってくるのは、このようなことが原因と考えられます。
表皮、続いて真皮の下には、「皮下組織」があります。皮下組織は、表皮と真皮を支えています。
皮下組織を構成するのは、おもに皮下脂肪です。
皮下脂肪と言うと、おなかについた脂肪やぜい肉といったマイナスなイメージがありますが、外部からの衝撃を和らげるクッションの役目をしています。
また皮下脂肪には動脈と静脈が流れており、肌に栄養成分を送り、逆に老廃物を運び出す役目も果たしています。
このように、表皮・真皮・皮下脂肪とあり、それぞれの役割を果たすことによって、健康で美しい肌が保たれているのです。
皮膚の構造がわかったら、いよいよ洗顔と皮膚の関係を考えていきましょう。
一般的な洗顔方法は、洗顔料を泡立てて顔に載せ、力を入れずに泡を肌になじませて洗います。このように洗顔で洗えるのは、皮膚の表皮の部分ということになります。
表皮の役割は、水分量を保持することだけではありません。ちりやホコリなどの汚れから肌を守ること、細菌などの肌への進入を防ぐこと、紫外線から肌を守ることなどがあります。
つまり表皮の表面には、ちりやホコリ・メイクなどの汚れ・皮脂膜・細菌など、さまざまな汚れが付着していることになります。洗顔は、この表皮についている汚れをキレイに落とすことが重要な使命なのです。
もし私たちが洗顔を怠ったら、どうなると思いますか?
肌には汚れやメイク、酸化した皮脂などが混ざったものが付着したままになってしまいます。年齢を重ねると新陳代謝が悪くなり、1日洗顔をしないでいただけでも、肌の状態は悪くなってしまうでしょう。
一方で間違って過度に洗顔をしていても肌はダメージを受けます。過度な洗顔は、肌が必要とする皮脂膜や保湿力を持つ細胞間脂質のセラミドを洗い流してしまいます。
また肌にある天然保湿成分も一緒に洗い流してしまうと、肌は完全にバリア機能を失って乾燥状態におちいります。
皮脂膜は回復力が強く、洗顔後数時間程度で皮脂膜を形成してくれますが、細胞間脂質や天然保湿成分は、もとの状態に回復するのには数日以上かかります。
保湿力が低下しバリア機能が弱くなった肌は、乾燥だけでなく、紫外線による刺激を受けやすくなったり、アレルゲンに反応しやすくなったりするのです。
洗顔によって、古くなった皮脂やメイクなどの汚れ、汗などを洗い流すことは、スキンケアの基本です。でも洗い過ぎることによって、肌にダメージを与えてしまうのは避けたいものです。
「10秒で洗顔をする」というのは極端な例ですが、洗顔時間をなるべく短くすることで、洗い過ぎを防ぐことは重要なことです。とくに加齢によって知らないうちに肌が乾燥しがちな世代は、より注意が必要です。
ですから洗い過ぎを防ぐために「顔の各部位をそれぞれ10秒で洗い上げる」というのはどうでしょうか。額・頬・鼻と顔を3つのパーツに分け、それぞれのパーツごとに泡立てた泡を10秒程度でなじませていく方法です。
肌の上に洗顔料の泡を載せておく時間をコントロールして、過度に肌自身が持っている美肌成分を洗い流さないように注意してみてください。
各部位の洗顔、洗顔料の選び方のポイントは?
洗顔時間がつかめたところで、30~40代の賢い洗顔料の選び方についてもアドバイスしておきましょう。
店頭には、
- フォームタイプ
- ミルクタイプ
- ジェルタイプ
- パウダータイプ
- クレンジング剤と一緒になったオールインワンタイプ
など、さまざまな洗顔料が並んでいます。
洗顔料のタイプは、自分が泡立てやすいものを選びましょう。洗顔料のタイプより気をつけたいのが、洗浄成分です。
洗浄成分には、
- 石鹸成分入り
- 合成界面活性剤入り
のものと大きく2種類があります。
一般的にはアルカリ性で、水で洗い流すときに洗浄成分が分解される「石鹸成分」の方が、肌への負担が少ないと言われています。
ただ研究開発や技術の進歩により、合成界面活性剤入りのものでも、肌のバリア成分を壊さない製品が開発されています。酸化防止剤や凝固剤などの添加物が入っていないかも含め、製品の特徴をよく確認してから購入しましょう。
どの洗顔料を選んでも、洗顔方法が雑であっては、効果が半減してしまいます。洗顔料をよく泡立てて、短時間ですませること、ぬるま湯ですすぐこと、清潔なタオルでこすらず拭くことも忘れないでください。
(まとめ)肌の負担を考えて各部位10秒以内の短時間で丁寧に洗顔しましょう
2.洗顔は、表皮表面の古い皮脂・汚れ・汗などを流します。
3.肌に負担をかけないためにも、短時間で丁寧に洗顔しましょう。
洗顔は、スキンケアの基本です。洗顔料を十分に泡立て、そっと表皮の表面にのせ、こすらず丁寧に短時間で汚れを落とします。
ぬるま湯で洗い流したら、清潔なタオルでそっとこすらず水分をふきとり、必要以上に肌に負担をかけないように注意しましょう。